ルーカスと呪われた遊園地（上）

５ ドキドキ観覧車

３９

「ど、どうも」
　久遠は会釈えしゃくをした。
「へー！　よろしくね！」
　気さくにルーカスが返事をした。
　次は柚子を手で指し示すと、
「こっちは柚子。二つ下の、私の妹なのよ」と言った。
「よろしくね」
　ルーカスにウインクをしながら、柚子が言った。
「えっ？　乙葉の妹なの？」
　意外だというように、ルーカスが乙葉と柚子を見比べた。
「うん、顔が似てるって、皆からよく言われるんだけど」
　乙葉が言った。
　するとルーカスは、柚子の目をまじまじと見ながら、
「へえ。言われてみれば、たしかに目元とか似てる！」と、ルーカスが言った。
「でしょ？」
　自慢げに乙葉が言った。
　そうして和気あいあいとやっている中、突然、柚子が乙葉に近づいてきて、
「お姉ちゃん、ちょっといい？」と言った。
「ん？　どうしたの？」
　乙葉は突然のことに、戸惑いながら言った。
「いいからちょっと」
　それだけいうと、久遠とルーカスがこちらを不思議そうに見る中、柚子は乙葉を引っぱって、小屋の外に、無理やり連れて出た。
「どうしたの、柚子。いきなり外になんて連れ出して」
　不満そうに乙葉が言った。
「どうしたもこうしたもないわよ、お姉ちゃん」
　柚子が言った。
「あの子は一体なんなの？　迷子かなにか？」
　どうやら、ルーカスが飛ぶことをいまだに信じていない柚子は、ルーカスが普通の男の子なのだと、勘違いしているらしい。