ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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「うわっ、なに⁉︎」
 乙葉はおどろいて、ベッドの上に、前から飛び乗った。
 後ろでも、驚いた柚子と久遠の、甲高い悲鳴が聞こえた。
 振り向くと、ルーカスが満面の笑みで、乙葉を見ていた。
「なんだ、ルーカスかあ。もう、おどかさないでよ」
 すこし怒り気味に乙葉が言った。
「えへへー。だって、その方が面白いじゃん」
 ルーカスは楽しそうにそう言うと、呆然と立っている柚子と久遠の二人を見て、
「ねえ、それより乙葉。そっちの二人は誰なの?」と尋ねた。
「あ、えっとね——」
 乙葉はルーカスに柚子と久遠を紹介しようとしたが、当の二人が宙にふわふわと浮かんでいるルーカスを見て、衝撃を受けているようだったため、言い出しづらくなり、言葉につまった。
「と……飛んでる……」
 いまにも腰を抜かしそうなほど、おどろきながら久遠が言った。
「すごーい、なにこの子! どうやって浮いてるの?」
 柚子はルーカスに興味津々のようだ。
「あはは……」
 話を進められずに、乙葉はただ苦笑するばかりだった。
「この子じゃないよ。僕はルーカスっていうんだ」
 小屋中を飛びまわりながら、ルーカスが言った。
「おお……すごい」
「もしかして、見えない糸かなにかで、体をつり上げているとか?」
 二人とも感心しているようだった。
 柚子に関しては、ルーカスが本当に飛べるとはまだ信じていないようで、なにかトリックがあるのではないかと疑いながら、そのトリックを見破ろうとしている様子だ。
 柚子が今後、ルーカスが外で空を飛んでいる姿を見たら、きっと驚愕して、腰を抜かしてしまうにちがいない、と乙葉は思った。
 そしてようやく、その場が落ち着いたところで、
「えっと、ルーカス、あらためて紹介するわね。こっちの男の子は私のクラスメイトで、友達の久遠くん」と言いながら、手のひらを上に向けた乙葉が、久遠を指し示した。
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