ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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 三人はメリーゴーランドの近くにある、小屋へと移動した。
 柚子と久遠はついて早々、小屋の外観を見るなり、呆然と立ちつくした。
「あ……思ったより、素敵な外観ですね」
 久遠が言った。
「うんうん、たしかに」
 となりで柚子が頷きながら言った。
「私が思ってた小屋のイメージって、わらを使った昔風のつくりだったから、案外まともで安心したわ」
「もう、二人とも、ばかにしすぎよ」
 乙葉が言った。
 この話をルーカスが聞いたら、一体なんて言うか。乙葉には、ルーカスのおこる姿が目に見えていた。
「じゃあ中に入るけど、なるべく静かにしてね」
 人さし指を立てて口にあてながらそう言うと、まだ寝ているかもしれないルーカスを起こさないように、乙葉はそっとしずかに中に入った。
 柚子と久遠は乙葉のあとに続いたが、なぜ静かにしなければならないのかというように、不可解に顔をしかめている。
「ねえ、もしかして、この小屋の中になにかいるの?」
 柚子がおびえたように小声で聞いた。
「まあいいから、説明はあと」
 もったいぶって乙葉が言った。
「ええ? もう、本当にどういうことなのよ」
 柚子は納得がいかないようだったが、仕方ないと言わんばかりに、乙葉の指示にしたがった。
 それから三人は慎重に、音を立てないように、小屋の床を歩いた。
 やがて、ベッドのそばまでくると、ルーカスが寝ているか確認するために、乙葉は毛布の端をそっとめくった。
 するとそこには、少し汚れている、大きなクマのぬいぐるみが、置いてあるだけだった。
「あれ、いない……」
 そう言った直後、突然、背後から、
「わあっ!」と、大きな声が聞こえた。
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