165 / 256
5 ドキドキ観覧車
34
しおりを挟む
「そんな——じゃあどうすれば、私たちは元の世界にもどれるの?」
蒼白な顔で柚子が尋ねた。
「いま私たちにできることは、門の外に出られる鍵をさがすこと。これしかないわ」
乙葉が言った。
「鍵? それがあれば、元の世界にもどれるの?」
いぶかしそうに柚子が言った。
「多分ね。でも、その鍵を見つけるのって、けっこう大変なのよ」
憂鬱な顔をしながら乙葉が言った。
「私たち、もう二日も探してるけど、本物の鍵はいっこうに見つからないし。なにより、この園内にきた人で、その鍵を見つけられた人は、いまだ一人もいないらしいの」
「一人も? そんなに探してもないのに、その鍵、本当に存在するの?」
鋭く柚子が尋ねた。
「でも、外の世界にもどれる手がかりはそれしかないし、とにかく鍵があると信じてさがすしか、ほかに方法はないのよ」
困り果てながら乙葉が言った。
「なんてことなの……」
柚子は肩を落とした。
「だから、鍵探しはいっこくを争うわよ。食料もそんなにないし」
乙葉は顔を曇らせた。
「あ、でも、食料のことなら、そんなに心配いらないわ。だって私、たくさん持ってきたもの」
背中に背負っている食料入りの、大きくふくれたリュックを乙葉に見せながら、柚子が得意げに言った。
それを聞いた乙葉は、さきほどまでの曇った顔が嘘のように、顔をパッと明るくさせ、
「それ、本当⁉︎」と言った。
「ええ。多分、久遠さんもたくさん持ってきていると思うわ」
柚子が言った。
「だから少しくらい、鍵探しが長引いても大丈夫じゃないかしら。まあ、はやく探すにこしたことはないけど」
蒼白な顔で柚子が尋ねた。
「いま私たちにできることは、門の外に出られる鍵をさがすこと。これしかないわ」
乙葉が言った。
「鍵? それがあれば、元の世界にもどれるの?」
いぶかしそうに柚子が言った。
「多分ね。でも、その鍵を見つけるのって、けっこう大変なのよ」
憂鬱な顔をしながら乙葉が言った。
「私たち、もう二日も探してるけど、本物の鍵はいっこうに見つからないし。なにより、この園内にきた人で、その鍵を見つけられた人は、いまだ一人もいないらしいの」
「一人も? そんなに探してもないのに、その鍵、本当に存在するの?」
鋭く柚子が尋ねた。
「でも、外の世界にもどれる手がかりはそれしかないし、とにかく鍵があると信じてさがすしか、ほかに方法はないのよ」
困り果てながら乙葉が言った。
「なんてことなの……」
柚子は肩を落とした。
「だから、鍵探しはいっこくを争うわよ。食料もそんなにないし」
乙葉は顔を曇らせた。
「あ、でも、食料のことなら、そんなに心配いらないわ。だって私、たくさん持ってきたもの」
背中に背負っている食料入りの、大きくふくれたリュックを乙葉に見せながら、柚子が得意げに言った。
それを聞いた乙葉は、さきほどまでの曇った顔が嘘のように、顔をパッと明るくさせ、
「それ、本当⁉︎」と言った。
「ええ。多分、久遠さんもたくさん持ってきていると思うわ」
柚子が言った。
「だから少しくらい、鍵探しが長引いても大丈夫じゃないかしら。まあ、はやく探すにこしたことはないけど」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
あやかし達の送り屋をやっています! 〜正反対な狐のあやかし双子との出会い〜
巴藍
児童書・童話
*第2回きずな児童書大賞にて、ファンタジー賞を受賞しました。
みんなには見えない不思議なナニカが見える、小学五年生の長月結花。
ナゾの黒い影に付きまとわれたり、毎日不思議なナニカに怖い思いをしながら過ごしていた。
ある日、結花のクラスにイケメン双子の転校生がやってくる。
イケメン双子の転校生には秘密があって、なんと二人は狐の『あやかし』……!?
とあるハプニングから、二人の『送り屋』のお仕事を手伝うことになり、結花には特別な力があることも発覚する。
イケメン双子の烈央と星守と共に、結花は沢山のあやかしと関わることに。
凶暴化した怪異と戦ったり、神様と人間の繋がりを感じたり。
そんな不思議なナニカ──あやかしが見えることによって、仲違いをしてしまった友達との仲直りに奮闘したり。
一人の女の子が、イケメン双子や周りの友達と頑張るおはなしです。
*2024.8/30、完結しました!
うそつきの精霊たち
トノサキミツル
絵本
精霊たちはふわふわと浮かんでは飛んでいく。漂って、流れて、そして言葉を交わす。でもうそばかりついてしまう。それは本当なのか、うそなのかもわからない。あるものはなんども生まれ変わって、うそをついて、自分が言った言葉すら忘れてしまう。
スノウ・ホワイト
ねおきてる
児童書・童話
スノウ・ホワイト。
私の名前です。
お城から追い出され、小人さんのお家でお世話になった後、王子様と結ばれました。
それから・・・それから・・・。
ねぇ、私の事はご存じですか?
GREATEST BOONS+
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!
龍神の化身
田原更
児童書・童話
二つの大陸に挟まれた海に浮かぶ、サヤ島。サヤ島では土着の信仰と二つの宗教が共存し、何百年もの調和と繁栄と平和を享受していた。
この島には、「龍神の化身」と呼ばれる、不思議な力を持った少年と少女がいた。二人は龍神の声を聞き、王に神託を与え、国の助けとなる役割があった。少年と少女は、6歳から18歳までの12年間、その役に就き、次の子どもに力を引き継いでいた。
島一番の大金持ちの長女に生まれたハジミは、両親や兄たちに溺愛されて育った。六歳になったハジミは、龍神の化身として選ばれた。もう一人の龍神の化身、クジャは、家庭に恵まれない、大人しい少年だった。
役目を果たすうちに、龍神の化身のからくりに気づいたハジミは、くだらない役割から逃げだそうと、二年越しの計画を練った。その計画は、満月の祭の夜に実行されたが……。
40000字前後で完結の、無国籍系中編ファンタジーです。
【シーズン2完】おしゃれに変身!って聞いてたんですけど……これってコウモリ女ですよね?
ginrin3go/〆野々青魚
児童書・童話
「どうしてこんな事になっちゃったの!?」
陰キャで地味な服ばかり着ているメカクレ中学生の月澄佳穂(つきすみかほ)。彼女は、祖母から出された無理難題「おしゃれしなさい」をなんとかするため、中身も読まずにある契約書にサインをしてしまう。
それは、鳥や動物の能力持っている者たちの鬼ごっこ『イソップ・ハント』の契約書だった!
夜毎、コウモリ女に変身し『ハント』を逃げるハメになった佳穂。そのたった一人の逃亡者・佳穂に協力する男子が現れる――
横浜の夜に繰り広げられるバトルファンタジー!
【シーズン2完了! ありがとうございます!】
シーズン1・めざまし編 シーズン2・学園編その1 更新完了しました!
それぞれ児童文庫にして1冊分くらいの分量。小学生でも2時間くらいで読み切れます。
そして、ただいまシーズン3・学園編その2 書きだめ中!
深くイソップ・ハントの世界に関わっていくことになった佳穂。これからいったいどうなるのか!?
本作はシーズン書きおろし方式を採用。全5シーズン順次書き上がり次第公開いたします。
お気に入りに登録していただくと、更新の通知が届きます。
気になる方はぜひお願いいたします。
【最後まで逃げ切る佳穂を応援してください!】
本作は、第1回きずな児童書大賞にて奨励賞を頂戴いたしましたが、書籍化にまでは届いていません。
感想、応援いただければ、佳穂は頑張って飛んでくれますし、なにより作者〆野々のはげみになります。
一言でも感想、紹介いただければうれしいです。
【新ビジュアル公開!】
新しい表紙はギルバートさんに描いていただきました。佳穂と犬上のツーショットです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる