ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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「そんなに大声を出したら、警官に気づかれてしまいます」
「すみません……」
 柚子は素直に謝った。
「これもすべては倉本さんのためなんです」
 小さな声で久遠が言った。
 そのあと、二人は花火をつけるのに適切な場所を探して歩いた。
 しげみの中は歩きづらいし、心なしか、空気が冷たく感じた。柚子ははやくこの居心地の悪いしげみから抜け出したいと思った。しかし、久遠はそんなこと物ともせず、ひたすら突きすすんでいる。柚子はその久遠の勇敢さに、思わず自分の目をうたがった。
 探している間は、同じ場所をいったりきたりと、あまりスムーズではなく、悪戦苦闘しながら二人は歩いた。
 しかし、その努力のかいがあってか、草や木があまり生えていない、広い場所を見つけることができた。ここから門までは、あまり距離が離れておらず、走ればすぐ行けるくらい近い場所にあった。
「うん、この場所なら、花火を打ち上げても問題ないな」
 久遠が確信したように言った。
 そのあと、久遠はその場所の中心に、持っていた花火を置いた。
「これから僕が火をつけて、花火を打ち上がらせます。そしたら僕が声で合図をするので、柚子さんは振りかえらずに、門の向こうまで、思い切り走っていってください」
 柚子を見ながら久遠が言った。
 それに対して、柚子はすぐに返事ができずに、
「あの、本当にやるんですか?」と、急に怖気おじけづきながら、こわごわとそう言った。
「ええ、もちろんやりますよ」
 平然と久遠が言った。
「ここまできて、いまさらやめるわけにはいきませんからね」
 それを聞いて、柚子はわかりやすく顔をしかめると、
「そうですよね——わかりました、なら、はやいとこやってください」と、投げやりになりながらも、もうあとには戻れないと思い、覚悟を決めて言った。
 そしていまから、本当に花火を打ち上げるのかとあらためて思った柚子は、その大胆さに、緊張で手に汗かいた。
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