ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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 久遠がけげんそうに、なにも言わない柚子を見つめている。
(どうしたもこうしたもないわよ。どうしてなんの策もないのに、私を誘ったのよ、この人は。命がかかってるのよ、命が。それなのに、なにを平然としてくれちゃってるの?)
 まさか久遠は、柚子がいま、心の中でこんなことを思っているとは、思いもしないだろう。
 でも、ここまできたからには、いまさらひき下がれない。柚子は覚悟を決めて、仕方なく、久遠についていくことにした。
「いや、なんでもないです」
 本当はいろいろと言いたいことがたくさんあったけれど、グッと我慢して、柚子が言った。
「そうですか? ならいいんですけど」
 笑って久遠が言った。
(この人、本当に信用して大丈夫かしら)
 柚子は不安な気持ちをのこしつつも、姉と京一のために頑張ろうと思った。
「それじゃ、妹さん、早速行きましょうか」
 久遠が口火を切った。
「あ、私のこと、妹さんじゃなくて、柚子って呼んでください」
 柚子がそう言うと、久遠は少し、照れくさそうな顔になり、
「じゃあ柚子さんで」と言った。
「オッケーです」
 そして二人は、山の上にある廃墟の遊園地をめざして歩いた。

                 ♢♢♢
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