ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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 それからおそるおそる中に入ると、中は思ったより薄暗くて、前がよく見えなかった。
 けれども、周りは乙葉の想像通り、ミラーハウスというだけあって、全面鏡張りになっていた。
 ここに鍵さがしではなく、友達か彼氏と遊びにこられたら、どんなによかったことだろう。
 乙葉は人生初のミラーハウスに、一人で入ってしまったことを、はやくも後悔していた。
 しばらく迷路をすすんでいると、突然、なにかにつまずいた乙葉は、
「うわっ」という声と同時に、地面にころがった。
 そして動きが止まると、
「もう、なに?」と、文句を言った。
 前が見えづらかったために、ポケットの中からスマホをとり出し、明かりをつけて見ると、なんと目の前には、白骨化した遺体があった。
 その遺体を見て、乙葉の顔は、みるみる青ざめていった。
「うそ……本物?」
 まさか、こんなところに遺体があるなんて。乙葉は、はやくも帰りたい気持ちになった。
「それにしても、どうしてこんなところに遺体が……」
 言いながら、乙葉は理由をかんがえた。
 乙葉たちがここへ来るずっと昔に、このおかしな遊園地に迷い込んでしまった人が、死ぬまでに鍵を見つけることができなくて、あげく、ここで力尽きてしまったのだろうか。乙葉はそう思うと、とても気の毒な気持ちになった。
 なにもしないのもいやだったため、遺体の前で両手を合わせ、静かに合掌することにした。しばらくそうした後、先へすすむためにその場をあとにした。
 それからさらに迷路の奥へとすすんでいくと、特に変わったことはなにも起こらず、
「なんだ、ただの鏡の部屋じゃない」と、乙葉は独りごとを言った。
 看板にはいくつもの仕かけがあるなんて、たいそうなことが書いてあったけれど、やはりそんなものは、なにもないのかもしれない。
 ミラーハウスも、別にたいしたことないなと思いながら乙葉が歩いていると、突如、男の人の笑い声が、どこからか聞こえてきた。
「なに? この声」
 だんだんと大きくなるその笑い声に、乙葉はこわくなり、自分の身をまもるようにして、両腕をつかんだ。
「アハハハハハ」
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