ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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4 妹の決断

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 乙葉は一人で、園内をとぼとぼと歩いていた。空を見上げると満月が出ていて、キラキラと輝いている。乙葉はその満月に、しばし見惚れた。
 小屋を出てからかれこれ、もう一時間も経過している。おなじ場所をいったりきたりしたり、なにもないおみやげ屋さんの中にずっと留まったりしていたら、いつの間にか時間がたっていた。
(なにも考えずにいきおいで出ちゃったけど、これからどうしよう……)
 その時、思わずあくびが出て、乙葉は口を押さえた。
 昨晩は寝ずに掃除をしていたから、いまものすごく眠い。目を閉じれば、いますぐにでも眠れそうなほどだ。でも、夜は外で眠るわけにはいかない。どこか安全な場所を探して、一晩そこで眠るしかない。乙葉はバーサークに見つからないように、これまでどおり、警戒しながら園内をあるいた。
 ふと上を見上げると、目の前に、巨大な観覧車があらわれた。この園内の観覧車は、これまでもずっと、遠目から見ていたのだが、こんなに近くで見たのは初めてだった。ゴンドラはカラフルで、一定の間隔かんかくで取りつけられている。
 そうだ。観覧車といえば、自分が小学生だったころ、友達の間で話題になったジンクスを思い出す。ある場所では、カップルで乗って頂上でキスをすると、そのカップルの愛は永遠に続くとか、またある場所では、付き合っていない男女が、二人一緒に乗ると付き合えるとか、少し前までは、そういう話でよく盛り上がったものだ。
 乙葉は、みんなと話はするけれども、男の人と観覧車なんて、まだ乗ったことがなかったため、自分とは縁がないものだと思っていた。でも、もしこの観覧車に好きな人と乗った場合、どうなるのだろう。この観覧車に乗れば、好きな人と付き合えるとか、そういうジンクスがあるとして、実際に乗ったら、本当に付き合えたりするのだろうか。そうだったら乙葉は、誰と一緒に乗りたいだろう。
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