ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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4 妹の決断

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 内田はそう言うと、心配そうに遠くを見つめた。
 無断欠勤なんて、京一らしくない。本当に乙葉といい、京一といい、普段の二人からしたら、考えられないことばかりおこっている。しかし京一にいたっては、バイトを欠勤しているだけだから、きっとなにか、特別な理由でもあるのかもしれない。柚子は、京一のことが気になりながらも、お弁当をひとつ買って、コンビニをあとにした。
 気がつくと、辺りはすっかり暗くなっていて、空には月が出ていた。今夜は満月だ。柚子はその満月をきれいだと思い、うっとり見とれながら歩いた。
 それから自宅近くまで帰ると、家の前に、誰かが立っているのが見えた。柚子は、その人を少し警戒しながら、玄関に向かって歩いた。
 近くまできた時、その人はキョロキョロしながら、家のまわりをうろついているのがわかった。それを見た柚子はあやしく思い、思い切って、声をかけてみることにした。
「あの、私の家に、なにかご用ですか?」
「あっ」
 その人はよく見ると、制服を着た、高校生くらいの男だった。メガネをかけていて、髪の毛が目にかかっているから、顔はよく見えない。いかにも、根暗な雰囲気のある男だった。
「えっ、えっと、ぼ、僕はあやしい者ではなくて、倉本さんのクラスメイトの、久遠くおんと言います」
 久遠という男は、口ごもりながらそう言った。
「あ、そうだったんですね」
 柚子は、乙葉のクラスメイトと聞いて、これまでいだいていた警戒心をといた。
「は、はい。あなたはもしかして、倉本乙葉さんの妹さんですか?」
 久遠が言った。
「はい、そうですが」
 澄ましながら柚子が言った。
「よかった。チャイムを鳴らしても誰も出なかったので、留守だと思って、帰ろうと思っていたんですよ。あの、これ休んだ分のノートなので、よかったら渡してあげてください」
 早口にそう言うと、久遠は柚子に、一冊のノートを手渡した。
「わかりました。わざわざありがとうございます」
 柚子は久遠におじぎをした。
「いえいえ。乙葉さんとは、いつも仲良くさせてもらっていますので」
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