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4 妹の決断
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そんな母を見て、柚子は浮かない顔をすると、
「お姉ちゃん、まだ見つからないの?」と言った。
「ええ、そうなのよ。いろいろと、探してはいるんだけど」
顔を上げて母が言った。
「そう……」
柚子はそれ以上、なにもいわなかった。
すると、テーブルの上にある、母のスマホの着信がなった。
「はい、倉本ですが——ええ、はい——えっ⁉︎ 本当ですか? 乙葉の、はい、わかりました」
乙葉というワードが出たということは、電話の相手は、警察なのだろうか。柚子には、電話の内容が聞こえてこない分、なにを話しているのか、気になって仕方がなかった。
「柚子、冷蔵庫にごはんあると思うから、自分のいいように、レンジで温めたりして食べてちょうだい。お母さんはこれから、警察にいってくるわ」
そう言うと、母は椅子から、素早く立ち上がった。
やはり、電話の相手は警察だった。柚子がなにかをいう隙を与えないほど、母はあせっているように見えたため、柚子は母にあえて、なにも聞かないことにして、
「わかった」とだけ言った。
「じゃあ、悪いけどよろしくね」
母はそばに置いてあったかばんを持って、すぐにリビングから出ていった。
これでこの家にいるのは、柚子一人だけになった。父は仕事で帰りがおそいだろうから、まだ当分は帰ってこない。乙葉の事件さえなければ、家に一人でいることは、まるでパラダイスのようにうれしいことなのに。人騒がせな姉のせいで、今日はたださみしいだけの、不安な夜になりそうだ。
「……ふう」
母のいなくなってしまったリビングは、やけにしずかだった。
とくになにもすることがなかった柚子は、ソファに座って、テレビを見ることにした。チャンネルをまわしても、いまの時間は、夕方の情報番組ばかりやっていて、柚子がおもしろいと思うテレビは、なにもやっていなかった。
たいくつだなあ、録りだめしてあるドラマでも見ようか、そんなことを思っていると、突然、グーッという音がした。柚子のおなかの音だ。
「お姉ちゃん、まだ見つからないの?」と言った。
「ええ、そうなのよ。いろいろと、探してはいるんだけど」
顔を上げて母が言った。
「そう……」
柚子はそれ以上、なにもいわなかった。
すると、テーブルの上にある、母のスマホの着信がなった。
「はい、倉本ですが——ええ、はい——えっ⁉︎ 本当ですか? 乙葉の、はい、わかりました」
乙葉というワードが出たということは、電話の相手は、警察なのだろうか。柚子には、電話の内容が聞こえてこない分、なにを話しているのか、気になって仕方がなかった。
「柚子、冷蔵庫にごはんあると思うから、自分のいいように、レンジで温めたりして食べてちょうだい。お母さんはこれから、警察にいってくるわ」
そう言うと、母は椅子から、素早く立ち上がった。
やはり、電話の相手は警察だった。柚子がなにかをいう隙を与えないほど、母はあせっているように見えたため、柚子は母にあえて、なにも聞かないことにして、
「わかった」とだけ言った。
「じゃあ、悪いけどよろしくね」
母はそばに置いてあったかばんを持って、すぐにリビングから出ていった。
これでこの家にいるのは、柚子一人だけになった。父は仕事で帰りがおそいだろうから、まだ当分は帰ってこない。乙葉の事件さえなければ、家に一人でいることは、まるでパラダイスのようにうれしいことなのに。人騒がせな姉のせいで、今日はたださみしいだけの、不安な夜になりそうだ。
「……ふう」
母のいなくなってしまったリビングは、やけにしずかだった。
とくになにもすることがなかった柚子は、ソファに座って、テレビを見ることにした。チャンネルをまわしても、いまの時間は、夕方の情報番組ばかりやっていて、柚子がおもしろいと思うテレビは、なにもやっていなかった。
たいくつだなあ、録りだめしてあるドラマでも見ようか、そんなことを思っていると、突然、グーッという音がした。柚子のおなかの音だ。
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