ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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3 メリーゴーランド

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「そうだ、ルーカス。これまでの人たちが、この遊園地にいる時間を、どうやって過ごしていたのか、よかったら教えてくれない?」
 たいくつな時間を、どうにかしようと思った乙葉が、早速ルーカスに尋ねた。
 ルーカスはこれまで、天井付近を、ふわふわと飛んでいるだけだったのだが、乙葉の言葉を聞いて、
「いいよ」と、すぐに返事をした。
「それで、なにをしていたの?」
 ふたたび乙葉が尋ねた。
「それはねえ、乙葉たちみたいに暇そうにしながら、日中、外を徘徊はいかいしている人もいたし、中には、まるで無人島にでも迷いこんだ人のように、のろしを上げて、誰かに助けを求めたり、SOSの文字を、地面に書いたりしている人もいたよ」
 ルーカスが言った。
「つまりたいがいの人は、みんなここから出ることに、必死になっていたってことね」
 納得して乙葉が言うと、
「でも、そういう人だけしか、いなかったというわけでもないよ」と、即座にルーカスが否定した。
「たとえばね、園内にある木を切って、自分の家を作ったり、ゴーカートの車に乗って、園内中を走りまわったり、はだかになって、楽しそうに踊っている人もいたんだから」
「ふふっ、なにそれ、面白いわね」
 乙葉は好奇心に満ちた目をしながら、ルーカスの話を聞いた。
「それとね、ある人は、バーサークを倒しにいってたよ」
「えっ」
 バーサークと聞いて、乙葉は一瞬、体が固まったように、動かなくなった。
「それで、その人、どうなったの?」
「もちろん、バーサークが殺しちゃったよ。まるで歯が立たなかったからね」
 平然とルーカスがそう言った。
「そうなの……」
 なんといっていいかわからずに、乙葉が口ごもった。
「僕は止めたんだよ?」
 ルーカスは、自分が悪者にされたくないのか、つよい調子で言った。
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