ルーカスと呪われた遊園地（上）

３ メリーゴーランド

３９

　乙葉と京一は、その、ルーカスのいきおいよく食べる様子を、二人でおどろきながら見ていた。
　そしてあっという間に、ルーカスはそのカレーを食べ終え、
「おいしかった！　ごちそうさま！」と言った。
「なんだか、すごい食べっぷりだったわね」
　まだ食べはじめてもいない乙葉が、呆然としながら言った。
「えへへ」
　ルーカスはほめられたと思っているのか、照れたように笑った。
　やがて、京一と乙葉も食べ終わり、三人は手持ちぶさたになった。
「ひまだわ」
　乙葉は呟くように言った。
　マイペースな京一は、かばんの中から本をとり出し、読みはじめた。
「それ、なんの本？」
　ルーカスが京一に尋ねた。
「遭難そうなんした時のための本」
　本を読みながら、素っ気なく京一が言った。
「へえ、どうして、遭難の本なんて読んでるの？」
　不思議そうにルーカスが言った。
「もう遭難したも同然だからな。それに、読んでいたらそのうち、なにか役に立つかもしれないだろ？」
　そう言うと、京一は次のページを、ペラッとめくった。
「そんな本、一体どこから持ってきたの？」
　乙葉がけげんそうに言った。
「俺は常日頃から、こういう時のために常備してる」
　なんでもないように京一が言った。
「すごいね！　京一」
　ルーカスは尊敬した眼ざしで、京一を見ていた。
　乙葉は反対に、京一のあまりの用意周到さに、若干引いた目で見た。
　それからなにをすることもなく、ただボーッと小屋の中を見ていると、突然、あることをひらめいて、乙葉はルーカスを見た。