77 / 256
3 メリーゴーランド
37
しおりを挟む
目をかがやかせながら、感心した様子で、ルーカスが言った。
「ねえそれ、食べてもいい?」
「別にいいけど、一人ひとつずつだ」
京一が言った。
「やったー!」
ルーカスは大喜びした。
ほかの食料は、京一がすべて、元あったリュックの中にしまい込んだ。そしてテーブルの上には、常夏のマーメイドカレーだけがのこり、みんな、そのカレーに注目していた。
「これ、食べるのはいいけど、どうやって温めるの? それに、ごはんはどうするの?」
困った顔をして、つぎつぎと乙葉が尋ねた。
「ああ、それならさっき、しまったばかりだが、たしか、レトルトのごはんなら、リュックの中にあったはずだ。あと、温めるのは、園内のレストランに、電子レンジがあるから、それを使えばいい」
京一が答えた。
「本当に?」
おどろいて乙葉がいうと、京一はうなずいた。
「すごい! さすが京一」
乙葉がほめた。
「どうってことない」
クールに京一が言った。
「でも、いまからそのレストランまで温めにいったら、途中でバーサークに、出くわすかもしれないよ」
京一の身を、心配したルーカスが言った。
「いまからいって、いそいで帰ってくれば問題ない」
平気そうに、京一が言った。
「俺一人で温めにいってくるから、お前たちはここで待ってろ」
京一はそう言うと、レトルトのごはんとカレーを持ち、本当に、小屋から出ていってしまった。
「いっちゃったね」
途端にしずかになった小屋の中で、ルーカスが言った。
「うん」
乙葉が言った。
「京一、無事にもどってくるといいけど」
♢♢♢
「ねえそれ、食べてもいい?」
「別にいいけど、一人ひとつずつだ」
京一が言った。
「やったー!」
ルーカスは大喜びした。
ほかの食料は、京一がすべて、元あったリュックの中にしまい込んだ。そしてテーブルの上には、常夏のマーメイドカレーだけがのこり、みんな、そのカレーに注目していた。
「これ、食べるのはいいけど、どうやって温めるの? それに、ごはんはどうするの?」
困った顔をして、つぎつぎと乙葉が尋ねた。
「ああ、それならさっき、しまったばかりだが、たしか、レトルトのごはんなら、リュックの中にあったはずだ。あと、温めるのは、園内のレストランに、電子レンジがあるから、それを使えばいい」
京一が答えた。
「本当に?」
おどろいて乙葉がいうと、京一はうなずいた。
「すごい! さすが京一」
乙葉がほめた。
「どうってことない」
クールに京一が言った。
「でも、いまからそのレストランまで温めにいったら、途中でバーサークに、出くわすかもしれないよ」
京一の身を、心配したルーカスが言った。
「いまからいって、いそいで帰ってくれば問題ない」
平気そうに、京一が言った。
「俺一人で温めにいってくるから、お前たちはここで待ってろ」
京一はそう言うと、レトルトのごはんとカレーを持ち、本当に、小屋から出ていってしまった。
「いっちゃったね」
途端にしずかになった小屋の中で、ルーカスが言った。
「うん」
乙葉が言った。
「京一、無事にもどってくるといいけど」
♢♢♢
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
【完結】だるま村へ
長透汐生
児童書・童話
月の光に命を与えられた小さなだるま。 目覚めたのは、町外れのゴミ袋の中だった。
だるまの村が西にあるらしいと知って、だるまは犬のマルタと一緒に村探しの旅に出る。旅が進むにつれ、だるま村の秘密が明らかになっていくが……。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
転校生はおんみょうじ!
咲間 咲良
児童書・童話
森崎花菜(もりさきはな)は、ちょっぴり人見知りで怖がりな小学五年生。
ある日、親友の友美とともに向かった公園で木の根に食べられそうになってしまう。助けてくれたのは見知らぬ少年、黒住アキト。
花菜のクラスの転校生だったアキトは赤茶色の猫・赤ニャンを従える「おんみょうじ」だという。
なりゆきでアキトとともに「鬼退治」をすることになる花菜だったが──。
大嫌いなキミに愛をささやく日
またり鈴春
児童書・童話
私には大嫌いな人がいる。
その人から、まさか告白されるなんて…!
「大嫌い・来ないで・触らないで」
どんなにヒドイ事を言っても諦めない、それが私の大嫌いな人。そう思っていたのに…
気づけば私たちは互いを必要とし、支え合っていた。
そして、初めての恋もたくさんの愛も、全部ぜんぶ――キミが教えてくれたんだ。
\初めての恋とたくさんの愛を知るピュアラブ物語/


弟は、お人形さんになりました
るい
絵本
あるところに、お母さん、お父さん、お兄ちゃん、弟くんの4人で出来た、ごく普通の家庭がありました。
この家族は貧しくもなければ潤沢な訳でもなく、ごくごく普通の家庭でした。
お母さんは優しいし、お父さんはサラリーマン、お兄ちゃんはたくましい。
でも弟くんは、お人形さん。
【注】このお話は少しホラーテイストになっております。苦手な方は十分注意の上閲覧ください。
夏から夏へ ~SumSumMer~
崗本 健太郎
児童書・童話
作者、崗本 健太郎の小学生時代の回顧録であり、
誰しも経験する子供の頃の懐かしい思い出が詰まっている。
短編が150話ほど収録されており、
通勤や就寝前など隙間時間にも読みやすい構成だ。
作者と読者との地域性や遊びの違いや、
平成初期の時代を感じさせる作風も魅力である。
日常の喧騒を忘れて癒されたい人は是非!!
※毎日20時公開 全48話
下記サイトにて電子書籍で好評販売中!!
Amazon-Kindle:www.amazon.co.jp/kindle
BOOK WALKER:www.bookwalker.jp
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる