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3 メリーゴーランド
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そう言うと、京一は座ったまま、本当に目をつむって眠りはじめた。
乙葉はルーカスのいる方を向くと、
「わかった。じゃあルーカス、私と一緒に乗りに行こう」と言った。
「うん!」
元気よくルーカスが言った。
本当は鍵探しをしたいところだけど、こうもあつくては、探しようがない。新たに京一も来たことだし、少しくらいはハメを外しても、問題ないだろうと思い、乙葉は、メリーゴーランドに乗ることに決めた。
それから乙葉は一人、乗り物のある台の上にあがるために、階段をのぼった。ルーカスは階段を使うことなく、らくらく飛んで、乙葉より先に、すでに移動していた。
まもなくして、乙葉は台の上にあがってすぐ、前を見ると、
「わあ」と、思わず口に出していた。
なぜなら目の前には、きらびやかなメリーゴーランドの乗り物が、円になってならべられ、今まさに、動いていたからだ。
そのメリーゴーランドは、映画や本などでよく見るタイプのもので、一階と二階にわかれていた。どうやら、馬と馬車がおもな乗り物のようだ。馬は白くて美しく、背中には、カラフルな鞍と、ゼッケンが装飾されている。馬車はまるで、シンデレラに登場してくるような形をしていて、外側が黄金色、内側は赤色の塗装をされ、高級感を思わせる作りになっていた。そのメリーゴーランドの動きようは、城の馬車を、馬が引いているように見えた。
乙葉はその馬に、はやく乗りたいと思ったが、動きっぱなしで、いっこうに止まる気配はなかった。
「ねえ。これ、どうやって止めるの?」
乙葉がルーカスに尋ねた。
「うーん。あの操作室の中に入って、止めればいいんじゃない?」
自分でメリーゴーランドに乗ろうと提案したはずのルーカスが、他人事のようにそう言った。
「止めればいいんじゃないって、ルーカス、あなたもしかして、止め方知らないの?」
ルーカスが操作の仕方を知っているとばかり思っていた乙葉は、おどろきながら言った。
「そんなの、僕が知るわけないよ。遊園地で働いたことないし」
さも当たり前のように、ルーカスが言った。
「それはそうかもしれないけど、あなた、ここに長い間住んでいたんでしょう? だったら、操作の仕方くらい、知っていてもおかしくないはずよ」
乙葉はルーカスのいる方を向くと、
「わかった。じゃあルーカス、私と一緒に乗りに行こう」と言った。
「うん!」
元気よくルーカスが言った。
本当は鍵探しをしたいところだけど、こうもあつくては、探しようがない。新たに京一も来たことだし、少しくらいはハメを外しても、問題ないだろうと思い、乙葉は、メリーゴーランドに乗ることに決めた。
それから乙葉は一人、乗り物のある台の上にあがるために、階段をのぼった。ルーカスは階段を使うことなく、らくらく飛んで、乙葉より先に、すでに移動していた。
まもなくして、乙葉は台の上にあがってすぐ、前を見ると、
「わあ」と、思わず口に出していた。
なぜなら目の前には、きらびやかなメリーゴーランドの乗り物が、円になってならべられ、今まさに、動いていたからだ。
そのメリーゴーランドは、映画や本などでよく見るタイプのもので、一階と二階にわかれていた。どうやら、馬と馬車がおもな乗り物のようだ。馬は白くて美しく、背中には、カラフルな鞍と、ゼッケンが装飾されている。馬車はまるで、シンデレラに登場してくるような形をしていて、外側が黄金色、内側は赤色の塗装をされ、高級感を思わせる作りになっていた。そのメリーゴーランドの動きようは、城の馬車を、馬が引いているように見えた。
乙葉はその馬に、はやく乗りたいと思ったが、動きっぱなしで、いっこうに止まる気配はなかった。
「ねえ。これ、どうやって止めるの?」
乙葉がルーカスに尋ねた。
「うーん。あの操作室の中に入って、止めればいいんじゃない?」
自分でメリーゴーランドに乗ろうと提案したはずのルーカスが、他人事のようにそう言った。
「止めればいいんじゃないって、ルーカス、あなたもしかして、止め方知らないの?」
ルーカスが操作の仕方を知っているとばかり思っていた乙葉は、おどろきながら言った。
「そんなの、僕が知るわけないよ。遊園地で働いたことないし」
さも当たり前のように、ルーカスが言った。
「それはそうかもしれないけど、あなた、ここに長い間住んでいたんでしょう? だったら、操作の仕方くらい、知っていてもおかしくないはずよ」
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