ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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3 メリーゴーランド

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 すると、ルーカスも言われたとおりに、東に向かって、すいすい飛んでいった。
 乙葉は、そんなルーカスを見て、本当にまじめに鍵を探してくれるのだろうかと、一瞬、心配に思った。一人で遊んでなければいいのだけど、と思いながら、自分も、西に向かって進んだ。
 やがて、ゲートから西のエリアまで移動した乙葉は、考えごとをしながら、あたりを見まわして歩いた。
 西にはたしか、ルーカスの家と、メリーゴーランドがある。ルーカスの家は、さきほど乙葉が掃除をして、徹底的に探したから、もう探す必要はない。だから、まずはまだ見ていない、周辺にある花壇や、トイレの中を探してみよう。
 そう思い立つと、乙葉は早速、鍵の捜索を開始した。
 花壇の前まで来て、膝をつくと、
「さあ、探すわよ」と、乙葉は、自分を勢いづけるために、ひと声出した。
 ざっと、土の上や、草の間を見ていくが、鍵らしき物は、なにも見つからない。乙葉はそのまま、無心で鍵を探し続けていると、ふと、昔のことを思い出した。
 それは、京一との思い出だった。
 まだ乙葉と京一が、五才くらいの幼い頃に、どこかの遊園地に、家族ぐるみで遊びにきていた時のことだ。途中までは乗り物に乗ったり、ゲームをしたりと、楽しく遊んでいたのだが、乙葉はその時、大事にしていたくまのぬいぐるみを、園内のどこかで失くしてしまった。
 それがわかってから、親切な誰かが届けてくれているかもしれないということで、すぐに両親と、インフォメーションセンターに行って、問い合わせた。しかし残念ながら、乙葉の失くしたぬいぐるみは、届いてはいなかった。
 かなしくなった乙葉は泣きさけび、せっかく遊園地にきているというのに、ぐずって、その場から一歩も動かなくなった。困った両親は、新しいぬいぐるみを買ってあげると、乙葉に言ってきた。しかし乙葉は、そのぬいぐるみではないと、だめだと言った。その様子を大人しく見ていた京一は、途中で一人、どこかに行ってしまった。きっと京一は、ぐずる乙葉を見て、呆れてしまったにちがいないと、乙葉はその時思っていた。
 それからいくらかの時間がすぎ、ぬいぐるみのことを諦めかけていた時のことだ。すっかり落ち込んだ乙葉が、両親と一緒にベンチに座っていると、なんと、失くしたはずのぬいぐるみが、乙葉のとなりに置かれていた。乙葉は大喜びして、そのぬいぐるみを抱きしめた。その乙葉の様子を見て、両親はすっかり、安心したようだった。
 そしていつの間にか、そばには、どこかに行っていたはずの京一がいて、何食わぬ顔で、アイスを食べていた。
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