ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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3 メリーゴーランド

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「まあ、まだ食べるつもりなの? まったくもう、本当に食いしん坊ね、ルーカスは」
 呆れた顔をして、乙葉が言った。
「でも、もうあげないわよ。貴重な食料なんだから」
 乙葉がそう言うと、ルーカスはなんだか、とんでもなく悲しげに、
「えー……わかった」と言った。
 そんなルーカスを見た乙葉は、
「ああ、ルーカス。お願い、そんな悲しそうな顔しないで。この遊園地から出て、いつか自由に出入りできる時がきたら、ひまな日にでも、また持ってきてあげるから」と言った。
「でも、ここからは出られないと思うよ」
 はっきりとルーカスが言った。
「皆そうだったし」
「あら、そんなの、やってみないとわからないじゃない」
 乙葉が反論した。
「それに、出られるって信じれば、きっと、鍵も見つけられると思うわ」
 ルーカスはそれを聞いて、どうかな、とでも言うような顔をして、そっぽを向いている。
「そうだ、ルーカスも、鍵を探すの、一緒に手伝ってくれる?」
 乙葉は思いつきで、ルーカスに、鍵探しの協力を頼んだ。
「私一人だと大変だし、人手は多ければ多いほどいいわ」
 しかしルーカスは、すぐには返事をせずに、顔をしかめると、
「うーん、僕は、あまり気乗りしないな」と言った。
「別に、一緒に探すのは問題ないけどさ。ただ、僕はあとで、乙葉にがっかりしてほしくないんだよね」
「私は見つけるわよ。誰が何と言おうと、必ずね」
 乙葉は断言した。
「じゃあ、もし外に出られたとして、乙葉はそのあとも、本当にこの遊園地に、忘れず遊びにきてくれるってこと?」
 不安そうな顔で、ルーカスが言った。
「もちろんよ」
 笑顔で乙葉が言った。
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