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3 メリーゴーランド

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「ここがルーカスの家?」
 目の前にある、大きいとも小さいとも言えない、微妙な大きさの、三角屋根の家を見て、乙葉が言った。
「そうだよ」
 ルーカスは平然としているが、実際、これは家ではなくて、物置小屋なのではないかと、乙葉は思っていた。以前、友達の家に遊びに行った時に、これと同じような、物置小屋を見たことがある。友達の物置小屋は、この小屋よりも小さかったけれど、形がそっくりだった。しかし、そんなことを言えば、ルーカスの機嫌を損ねてしまう恐れがあったため、黙っておくことにした。
「素敵な家ね」
「でしょ?」
 得意げな顔をしたルーカスが、乙葉を見た。乙葉は、その顔を見て苦笑したが、物置小屋と言えども、外観はそれほど悪くはないと思った。
 小屋には、窓とドアが取り付けられているし、窓台には、鉢に入った色とりどりの花が、いくつか飾られている。それに、装飾されているだけで、多分使用はできないであろう、煙突もついている。色は全体的に、茶色系に統一されていて、おしゃれな雰囲気をかもし出している。
 さすが、遊園地と言うだけあって、夢を壊さないためなのか、物置小屋まで、見た目に気を使っている。しかし、いくらおしゃれに見えても、所詮、物置小屋だ。乙葉は、あまり期待せずに、小屋の中に入ることにした。
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