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2 残虐な着ぐるみ
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耳を澄ましながら聞いている乙葉に向かって、ルーカスが言った。
「鍵を見つけなきゃいけないの?」
「そうだよ」
何か問題でも? というような顔で、ルーカスが乙葉を見た。
「ええっ、それじゃ、鍵を見つけるまで、ここから出られないじゃない」
げんなりして乙葉が言った。
「難しいところに隠してあったらどうしよう……ねえ、ルーカス。その鍵、どこにあるか教えてくれない?」
「無理だよ」
きっぱりとルーカスが言った。
「その鍵は、僕にもどこにあるかわからない。これまで何人も、その鍵を見つけようと頑張っていたけど、結局誰も見つけられなかったからね」
「そんな……それじゃ私、やっぱり、ここから出られないってことなの?」
それを聞いた乙葉は、急に鍵をさがす自信がなくなり、ものすごく落ち込みだした。
「まだ希望を失うのは早いよ」
意外にもルーカスが、乙葉を励ました。
「だって、みんなが探し出せなくても、乙葉なら見つけられるかもしれないしさ」
「まあ、そうよね」
乙葉は自分に言い聞かせた。
「励ましてくれてありがとう」
「どうってことないよ」
ルーカスが気どった感じで言った。
「じゃあ私、見つかるまで鍵をさがすわ。大変かもしれないけど」
思い切りながら乙葉が言った。
「その意気だよ、乙葉」
ルーカスが言った。
「でも、僕は見つからない方がうれしい。だって、乙葉にはずっとここにいてほしいもん」
乙葉はそのルーカスの言葉を聞いて、なにか胸にじーんとくるものがあり、
「まあ、そんなこと言ってくれるなんて、嬉しいわ……」と、しみじみと言った。
「でも——」
「鍵を見つけなきゃいけないの?」
「そうだよ」
何か問題でも? というような顔で、ルーカスが乙葉を見た。
「ええっ、それじゃ、鍵を見つけるまで、ここから出られないじゃない」
げんなりして乙葉が言った。
「難しいところに隠してあったらどうしよう……ねえ、ルーカス。その鍵、どこにあるか教えてくれない?」
「無理だよ」
きっぱりとルーカスが言った。
「その鍵は、僕にもどこにあるかわからない。これまで何人も、その鍵を見つけようと頑張っていたけど、結局誰も見つけられなかったからね」
「そんな……それじゃ私、やっぱり、ここから出られないってことなの?」
それを聞いた乙葉は、急に鍵をさがす自信がなくなり、ものすごく落ち込みだした。
「まだ希望を失うのは早いよ」
意外にもルーカスが、乙葉を励ました。
「だって、みんなが探し出せなくても、乙葉なら見つけられるかもしれないしさ」
「まあ、そうよね」
乙葉は自分に言い聞かせた。
「励ましてくれてありがとう」
「どうってことないよ」
ルーカスが気どった感じで言った。
「じゃあ私、見つかるまで鍵をさがすわ。大変かもしれないけど」
思い切りながら乙葉が言った。
「その意気だよ、乙葉」
ルーカスが言った。
「でも、僕は見つからない方がうれしい。だって、乙葉にはずっとここにいてほしいもん」
乙葉はそのルーカスの言葉を聞いて、なにか胸にじーんとくるものがあり、
「まあ、そんなこと言ってくれるなんて、嬉しいわ……」と、しみじみと言った。
「でも——」
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