ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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2 残虐な着ぐるみ

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 ルーカスは目を輝かせて言った。
「うれしいなあ。僕、毎日一人でひましてるところだったんだよ。新しい友達ができて、本当によかった!」
 そう言うと、ルーカスは自由に空を飛びまわり、喜びをあらわにした。
「おい、お前ら! 俺様を無視するな!」
 着ぐるみが、乙葉の元へ近寄ってきた。
 乙葉は逃げようと思い、ふらつきながら立ち上がった。そこへ、空を飛んでいたルーカスが、そばまでやってきた。
「乙葉! 僕の手をとって!」
 ルーカスは空中にいながら、乙葉に向けて手をさし出したため、乙葉はすぐにその手をとった。
 すると、乙葉の体はふわりと宙に浮き始めた。
「えっ! 私、浮いてる⁉」
 驚愕きょうがくしながら乙葉が言った。
「そうだよ。僕の手に触れている間だけだけどね」
 なんでもないようにルーカスが言った。
「まあ、なんてすごいのかしら!」
 乙葉が興奮してそう言っている間にも、足元を見ると、着ぐるみが乙葉の足を掴もうと、手を伸ばしている姿が目に入った。
「大変! ルーカス、もっと高く飛んで!」
 乙葉はとっさにお願いした。
 それを聞いたルーカスは、
「おやすいご用だよ」と言って、さらに飛ぶスピードを上げた。
 それで着ぐるみは、乙葉の足をつかみ損ね、
「くそっ!」と声を上げ、あからさまに悔しがっていた。
 ルーカスと乙葉の二人は、その様子を上から見下ろし、笑い合った。
「この憎たらしいガキどもめ! 次会ったら覚えていろよ!」
 地上にいる着ぐるみが二人を見て、吐き捨てるように言った。
 そのあと、二人は園内にある、建物の屋根の上まで飛んでくると、乙葉だけ地面におり立ち、ルーカスは空にいながら、乙葉の手をはなした。
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