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2 残虐な着ぐるみ
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「俺様の邪魔をするなと、一体何度いえばわかるんだ!」
「あはは」
声の主は高らかに笑った。
しばらく見続けていると、上で飛んでいた“なにか”は、徐々に下におりてきた。
やがて、はっきりとそれが、なにかわかるところまで見えてくると、
「うわっ! やっぱり、人間だわ!」と、乙葉は思わず、飛び起きて声を出した。
ありえない。人がなにも機械を使わずに、自由に空を飛んでいる。しかも子供だ。
目の前で起こっている光景が信じられずに、乙葉は自分の目をうたがった。
「えへへ、すごいでしょー」
乙葉の反応を見て笑いながら、空中に浮いている子供が言った。
動揺した心をなんとか落ち着かせ、乙葉はいまだにぷかぷかと空中に浮き続けているその子供を、冷静に見ることにした。
目の前で空を飛んでいるのは、狼の着ぐるみを着た小さな男の子だった。マントを着て顔を隠している着ぐるみとはちがい、男の子の顔だけが着ぐるみから露出していた。
男の子の年齢は、五才か六才くらいに見える。顔をよく見ると、肌が白くきれいで、青い目をしている。とても整ったかわいらしい顔立ちだ。前髪が少しだけ出ているのだが、黒髪ではなく金髪だった。
その姿は、一目で外国人だとわかる見た目をしていた。
「下までおりてこい! 悪いことをしたやつは、俺様がこらしめてやる!」
着ぐるみがどなった。
「やだよー」
男の子は空中であぐらをかきながら言った。
「悪いことをしたのはそっちでしょ? 僕、なーんにも悪くないもんね」
「うるさい! 誰がなんといおうと、俺様のいうことは絶対だ」
空中にいる男の子を指さしながら、着ぐるみは何度も跳ねている。
「悔しかったらここまでくればー?」
男の子が上で挑発した。
「キーッ! この生意気なガキめ!」
男の子の挑発により、着ぐるみは怒り狂ったようになった。
「あはは」
声の主は高らかに笑った。
しばらく見続けていると、上で飛んでいた“なにか”は、徐々に下におりてきた。
やがて、はっきりとそれが、なにかわかるところまで見えてくると、
「うわっ! やっぱり、人間だわ!」と、乙葉は思わず、飛び起きて声を出した。
ありえない。人がなにも機械を使わずに、自由に空を飛んでいる。しかも子供だ。
目の前で起こっている光景が信じられずに、乙葉は自分の目をうたがった。
「えへへ、すごいでしょー」
乙葉の反応を見て笑いながら、空中に浮いている子供が言った。
動揺した心をなんとか落ち着かせ、乙葉はいまだにぷかぷかと空中に浮き続けているその子供を、冷静に見ることにした。
目の前で空を飛んでいるのは、狼の着ぐるみを着た小さな男の子だった。マントを着て顔を隠している着ぐるみとはちがい、男の子の顔だけが着ぐるみから露出していた。
男の子の年齢は、五才か六才くらいに見える。顔をよく見ると、肌が白くきれいで、青い目をしている。とても整ったかわいらしい顔立ちだ。前髪が少しだけ出ているのだが、黒髪ではなく金髪だった。
その姿は、一目で外国人だとわかる見た目をしていた。
「下までおりてこい! 悪いことをしたやつは、俺様がこらしめてやる!」
着ぐるみがどなった。
「やだよー」
男の子は空中であぐらをかきながら言った。
「悪いことをしたのはそっちでしょ? 僕、なーんにも悪くないもんね」
「うるさい! 誰がなんといおうと、俺様のいうことは絶対だ」
空中にいる男の子を指さしながら、着ぐるみは何度も跳ねている。
「悔しかったらここまでくればー?」
男の子が上で挑発した。
「キーッ! この生意気なガキめ!」
男の子の挑発により、着ぐるみは怒り狂ったようになった。
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