ラズとリドの大冒険

大森かおり

文字の大きさ
326 / 387
14

28

しおりを挟む
 そう、ハキハキと返事をしたルビットは、操縦室に向かって、風のごとく走っていった。
 リドは、マスケット銃を片手に持ったまま、もう片方の手で運転を続けながら、いまだに大きな赤い水のリングを作っている最中の怪物、ディンゴネクの頭に、狙いを定め出した。
 まもなくして、きちんと狙いが定まったかと思われた瞬間、リドはトリガーを、一気に引いた。
 すると、リドの持っていたマスケット銃から、弾丸が回転しながら、一直線を描くように放たれていった。
 これまでずっと、大きな水のリングを作っていたディンゴネクは、リドに仕かけられた攻撃に気づきながらも、ギリギリまで逃げる素振りを見せず、余裕の表情で、水のリングを作り続けながら、いとも簡単に、リドの攻撃を避けた。
 リドはそのあと何度も、諦めずにディンゴネクに向かって、マスケット銃を使って、何発も弾丸を打ち込んだ。
 ところがディンゴネクは、リドの放った攻撃を、物の見事に、全て避けていた。
「そんな銃ごときで、俺が倒されると思ったら、大間違いだ。まったく、お前ら人間ときたら、はなはだ呆れるぞ。どうしてそんなもので、この俺が倒されると思うんだ? そんなこと、少し考えたら、猿にでもわかるだろう」
 ムカつくような言い方で、ディンゴネクが言った。
 それからディンゴネクは、赤い海の中に入れていた尻尾を、ズルッと、岩の上に出すと、
「よし、こんなもんか」と言って、巨大に作り上げた赤い水のリングを、尻尾の先から、ブワッと、空高く浮かばせ始めた。
「目にモノ見せてやる」
 一言そう言うと、ディンゴネクは、その作り上げたばかりの巨大な水のリングを、ジオードサンド号目がけて、空中から勢いよく飛ばした。
 直後、巨大な水のリングは、ジオードサンド号を包み込むようにして、とんでもない水しぶきと、轟音を轟かせながら、まるで輪くぐりのように、通り抜けていった。
 その予想もしていなかった、驚きの、強大な力の攻撃により、ジオードサンド号は、赤い屋根の家や、船側、旗といったものが、一部破壊されたり、傷だらけになったりした。
 これだけの攻撃を受ければ、普通、どんな船だって、ひとたまりもないだろう。けれども幸いなことに、船が沈むことはなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サッカーの神さま

八神真哉
児童書・童話
ぼくのへまで試合に負けた。サッカーをやめようと決心したぼくの前に現れたのは……

テツガクねこはテツガクする

関谷俊博
絵本
ぼくは ねこである。なまえは テツガクねこ。テツガクすることに めざめた ねこである。

精霊の国に嫁いだら夫は泥でできた人形でした。

ひぽたま
児童書・童話
琥珀は虹の国の王女。 魔法使いの国の王太子、ディランに嫁ぐ船上、おいしそうな苺を一粒食べたとたんに両手をクマに変えられてしまった! 魔法使いの国の掟では、呪われた姫は王太子の妃になれないという。 呪いを解くために、十年間の牛の世話を命じられて――……! (「苺を食べただけなのに」改題しました)

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

見える私と聞こえる転校生

柚木ゆず
児童書・童話
「この中に、幽霊が見える人はいませんか?」  幽霊が見える中学1年生の少女・市川真鈴のクラスに転校生としてやって来た、水前寺良平。彼のそんな一言が切っ掛けとなり、真鈴は良平と共に人助けならぬ幽霊助けをすることになるのでした――。

君との恋はシークレット

碧月あめり
児童書・童話
山田美音は、マンガとイラストを描くのが好きな中学二年生。学校では黒縁メガネをかけて地味に過ごしているが、その裏で人気ファッションモデル・星崎ミオンとして芸能活動をしている。 母の勧めでモデルをしている美音だが、本当は目立つことが好きではない。プライベートでは平穏に過ごしたい思っている美音は、学校ではモデルであることを隠していた。 ある日の放課後、美音は生徒会長も務めるクラスのクールイケメン・黒沢天馬とぶつかってメガネをはずした顔を見られてしまう。さらには、教室で好きなマンガの推しキャラに仕事の愚痴を言っているところを動画に撮られてしまう。 そのうえ、「星崎ミオンの本性をバラされたくなかったら、オレの雑用係やれ」と黒沢に脅されてしまい…。

トゲトゲ(α版)

山碕田鶴
絵本
トゲトゲ したものを挙げてみました。  ※絵本レイアウトにした改稿版が「絵本ひろば」にあります。

未来スコープ・コンセプト絵本 ―みらいのたまごとカメのトト―

米田悠由
絵本
「ちゃんと ふつうに しなさい!」 ──どうして ぼくは みんなみたいに できないんだろう…… 森の奥で、のんびり屋のカメ・トトは「みらいのたまご」を見つけます。 そのたまごには、見えた未来 がほんとうになる不思議な力がありました。 トトは、たまごに映る立派な姿を なりたい自分 だと信じて、努力を始めます。 でも、仲間たちとの出会いを通して、少しずつ問いが生まれます。 ──それは、ほんとうにぼくが望む未来なのかな? やがて、たまごは失われ、未来も見えなくなります。 けれどその喪失の中で、トトは気づきます。 「未来は、見えるものじゃなくて、歩きながらつくっていくもの」 誰かに決められた 普通 ではなく、自分のペースで、自分らしく生きることを選んだトト。 違いを抱えた仲間たちとの出会いが、トトの心をほどき、再び歩き出す力をくれました。 挫折と再生、多様性と希望を描いた、すべての 選び直したい人 にそっと寄り添う絵本です。

処理中です...