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「どうするもなにも、あいつを倒さないことには、俺とロアルドじいさんの夢とスフェラナイトは、手に入らないんだ。どっちからいったにしても、こうなった以上はもう、戦うしかないさ」
リドは、ディンゴネクと戦うなんて、まっぴらごめん、めんどうだと思っているようだったが、こうなった以上は仕方ないというように、諦めた様子で言った。
その時、ラズの肩の上で、ハラハラと落ち着きのないネルーピーが、
「でも、でも、どうやって戦うっていうんだよ。あいつ、これまでの奴よりも、格段に強そうじゃないか」と言った。
「ああ、オイラ本当に、耐えられないよ。どうして、こんなところにいなくちゃいけないんだ。オイラは別に、リドの夢も、はたまたロアルドじいさんの夢も、スフェラナイトも、どうだっていいっていうのに」
もはやネルーピーは、躍起になっていた。
「ネルーピー、お前、いつだって弱気なんだな。それに、夢もスフェラナイトもどうでもいいだなんて、よく言ったもんだ。まったく、お前は人の幸せを願うっていうことが、素直にできないのか?」
すっかり呆れながら、リドが言った。
「無茶言うなよ! あんな怪物相手に!」
ネルーピーが、大声を上げた。
そんな、すっかり平静さを失っているネルーピーにたいして、リドは、肩をすくめると、
「少しは自信を持ったらどうなんだ?」と言った。
「二人とも、オイラの気持ちなんて、どうでもいいんだ。こんなに恐がっているっていうのに。本当に、自分のことばっかり」
なんだか急に女々しくなったネルーピーは、立った状態で下を向きながら、いじいじした様子で、後ろ足を使ってラズの肩を蹴りつつ、そう言った。
「ちょっとネルーピー。一体どうしたの? なにか様子が変よ」
ラズが、様子の変わったネルーピーのことを、心配して言った。
「こんな状況を前にして、冷静でいられる、二人の方が変なんだよ。オイラはまともさ」
まだいじいじした様子の、ネルーピーが言った。
「あら、本当は私だって、あの怪物が恐いのよ。あなただけではないわ」
ひどく動揺しているネルーピーを、安心させるように、ラズが言った。
そしてそのまま、口元に手を当てると、リドにバレたりしないように、ネルーピーに近づいた。
「きっとリドも、私たちとおなじなはずよ」
リドは、ディンゴネクと戦うなんて、まっぴらごめん、めんどうだと思っているようだったが、こうなった以上は仕方ないというように、諦めた様子で言った。
その時、ラズの肩の上で、ハラハラと落ち着きのないネルーピーが、
「でも、でも、どうやって戦うっていうんだよ。あいつ、これまでの奴よりも、格段に強そうじゃないか」と言った。
「ああ、オイラ本当に、耐えられないよ。どうして、こんなところにいなくちゃいけないんだ。オイラは別に、リドの夢も、はたまたロアルドじいさんの夢も、スフェラナイトも、どうだっていいっていうのに」
もはやネルーピーは、躍起になっていた。
「ネルーピー、お前、いつだって弱気なんだな。それに、夢もスフェラナイトもどうでもいいだなんて、よく言ったもんだ。まったく、お前は人の幸せを願うっていうことが、素直にできないのか?」
すっかり呆れながら、リドが言った。
「無茶言うなよ! あんな怪物相手に!」
ネルーピーが、大声を上げた。
そんな、すっかり平静さを失っているネルーピーにたいして、リドは、肩をすくめると、
「少しは自信を持ったらどうなんだ?」と言った。
「二人とも、オイラの気持ちなんて、どうでもいいんだ。こんなに恐がっているっていうのに。本当に、自分のことばっかり」
なんだか急に女々しくなったネルーピーは、立った状態で下を向きながら、いじいじした様子で、後ろ足を使ってラズの肩を蹴りつつ、そう言った。
「ちょっとネルーピー。一体どうしたの? なにか様子が変よ」
ラズが、様子の変わったネルーピーのことを、心配して言った。
「こんな状況を前にして、冷静でいられる、二人の方が変なんだよ。オイラはまともさ」
まだいじいじした様子の、ネルーピーが言った。
「あら、本当は私だって、あの怪物が恐いのよ。あなただけではないわ」
ひどく動揺しているネルーピーを、安心させるように、ラズが言った。
そしてそのまま、口元に手を当てると、リドにバレたりしないように、ネルーピーに近づいた。
「きっとリドも、私たちとおなじなはずよ」
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