ラズとリドの大冒険

大森かおり

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 リドが、大喜びで言った。
「さすがね、ルビット」
 飛び跳ねることをやめたラズが、そう言った。
「やっぱり、本物の船乗りだったわね」
「だから言ったろう? ルビットは、俺が認めた世界最強の、船乗りなんだって」
 そういうリドは、鼻高々だ。
「あら、そんなこと、言っていたかしら?」
 ラズは、あやしがって言った。
「細かいことはいいだろう?」
 けろりとしながら、リドが答えた。
「それより、俺たちは、あのとてつもない、困難とも言える障害物を、見事よけることができたんだ!」
 リドはもう、両手を広げながら、歓喜に満ち溢れているように大興奮している。
「これで救命ボートに乗ることも、海の中を泳ぐことも、しなくてよくなったぞ!」
「バンザイ! ルビット、バンザイだ!」
 普段、ルビットといがみ合っているネルーピーが、両手をあげながら、そう言った。
 そんなネルーピーにのっかるようにして、ラズとリドも、思いきり高く、両手を上げ下げしながら、
「バンザーイ! バンザーイ!」と言った。
 そしてそのあとも、みんなルビットに向かって、口をそろえながら、バンザイをやりつづけた。
 ルビットは、いまだに運転を続けながら、デッキの上に立って、バンザイをしているラズたちを、照れたように、人さし指で頬をかきながら、相変わらずの無表情で、見下ろしていた。
 やがてラズたちは、暗くてジメジメしている、岩のトンネルを抜けて出た。




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