ラズとリドの大冒険

大森かおり

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「それはもちろん、知ってるさ」
 あっけらかんと、ルクワタが言った。
「でも本当に、ほんの少し、獲物をひと目、誰よりも先に見たいだけなんだ」
 ルクワタは、それがどれくらい少しなのか、指で狭い隙間をつくって表しながら、なぜか必死になって、デッセンスをそう、説得した。
「ああ、勘違いしないでくれよ。俺、別に味見なんて、しようとは思ってないから」
 これが最後だと言わんばかりに、ルクワタが念を押した。
「だから、ほんの少しの間だけ、待っていてくれよ。な? 親友」
 まるで友達に甘えるように、ルクワタが言った。
「あー、わかった、わかった。そこまで言うんなら、ルクワタ、あんたを信じるぜ」
 すっかり呆れた様子のデッセンスが、仕方ないなとでも言うように、そう返事をした。
「その代わり、ちゃんと約束を守ることだな。そうじゃなければ、ルクワタ、お前、親友と言えども、お前さん自身の身がどうなるか……」
 デッセンスは、ルクワタが友達とは思えないほどの恐ろしい表情をしながら、ルクワタを脅した。
 そんなデッセンスを見て、さすがのルクワタも、少し怯えたような顔をして、ブルッと、一瞬だけ震えた。
 ところがすぐに、その怯えもなくなって、心が浮き立っている様子になると、
「ああ、任せておけ」と言った。
 それからルクワタは一人で、火山の周りを囲む、マグマを飛び越えた赤い海の中へと、水を飛ばしながら勢いよく、飛び込んでいった。
 その頃、ラズたちはと言うと、ルクワタが海の中に飛び込んでいったことも知らずに、ただ、黒い船が動き出すのを、今か今かと、我慢強く待っていた。
 ラズなんて、待ちくたびれたような顔をして、その場に座り込んで、思わずため息をついていたり、ネルーピーはそのラズの肩の上で、ぶるぶると怯えながら、何も見えないように目を瞑っている。
 しかし、そんな二人とは正反対に、リドだけは、こんな状態にもかかわらず、柱にもたれかかって、うとうとと、今にも眠ってしまいそうに見えた。
 やがて、そうして待っていたラズたちの元に、はやってきた。
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