ラズとリドの大冒険

大森かおり

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 オーバルが、呆れた様子で言った。
「まあいいよ。じゃあ、またくるぜー!」
 そう言うと、オーバルは、大空へ向かって、元気よく羽ばたいていった。
「あのうるさい鳥、ようやくどこかにいったな」
 オーバルのいなくなったテーブルで、リドが、うっとうしそうに言った。
「これでようやく、しずかに食事がとれる」
 そう言うと、ふたたび、リドはベーグルにありついた。
「なにを言ってるの、リド。オーバルは、いつも明るくて、とってもいい鳥よ」
 ラズは、とっさにオーバルをかばった。
「俺には、ただのうるさい鳥にしか、思えないね」
 ぶっきらぼうに、リドが言った。
「私もリド様に同感です。あの者は、私にはうるさくてかないません」
 ムスッとしているルビットが、リドに同調した。
「まあ、ルビットまで……あなたたち、そういうとこ、本当によくないわよ」
 ラズが言った。
「そうだよ、オイラも、ラズに賛成だ!」
 みんなの話を聞いていたネルーピーが、ラズに味方した。
「オーバルは、いいやつさ」
 それを聞いたルビットは、ネルーピーを見ると、
「ふん。たかがネズミが。なにをいう」と、ばかにするように言った。
「ねえ、ラズ! いまの聞いた?」
 ショックを受けたような顔をして、ネルーピーが、テーブルの上から、ラズを見上げるようにして、そう言った。
「たかがネズミだって! オイラのこと!」
 ネルーピーは、キンキン声でなげいている。
「この前、巨大な岩の穴をよけるとき、ルビットのこと、あんなに応援したのに」
 続けて、ネルーピーは、あんまりだという顔をしながら言った。
「やっぱりオイラ、こいつのこと、好きになれないよ!」
 ネルーピーに、指をさされながらそう言われたルビットは、そっぽを向きながら、コップに入っている牛乳を、ごくごくと飲んでいる。
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