ラズとリドの大冒険

大森かおり

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「刺し網? なんだい、それは」
 ネルーピーが、首をかしげながら、ラズに尋ねた。
「私、以前、ムンダ村の海で、おなじものを見たことがあるわ。それでその時、ヨールおじいちゃんから、教えてもらったことがあって、刺し網っていうのは、魚やイルカなんかを捕らえるために、遊泳する場所を遮断するように、海中に平面状の、針のついた網を仕かけて、その網を通ろうとした魚を、網目に刺させたり、絡ませたりするのよ」
 ラズが、真剣な顔をしながら、ネルーピーにそう教えた。
「だから、ほら、よく見ると網に、先の尖った針がついているでしょう?」
 するとネルーピーは、その網をよく見始めた。
「うわっ! 本当だ! 本当に針がついてる!」
 尖った部分に、おなじく赤黒い血がついている針を見ながら、ネルーピーが、ショックを受けたように叫んだ。
「ね? 私の言ったとおりでしょう? この網は、海の生物にとって、とっても危険な網なのよ」
「ということはつまり、ラビルはあの網に、捕まっちゃったってこと?」
 ラズの話を聞いたネルーピーが、確信をついたような質問をした。
「ええ、きっとそうよ」
 ラズが言った。
「人間は、ひどいことをするものだなあ」
 まるで独り言のように、ネルーピーが言った。
「そう言えば、肝心のラビルがいないようだけど、一体、どこへいったんだ?」
 続けてネルーピーが、網のまわりや、その一帯を探しながら言った。
「網が破れているから、きっと、自分で逃げ出したか、誰か親切な人間に、逃がしてもらったにちがいないわ」
 その、一部が雑に破れた網を見ながら、ラズがそう予想した。
「そうか」
 納得しながら、ネルーピーが言った。
「じゃあ、その逃げた場所っていうのは、どこかわかる?」
 そう、ネルーピーが聞くと、ラズは首を左右に振りながら。
「わからないわ」と言った。
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