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「なんですって?」
目を皿のように、大きくしておどろきながら、ラズが言った。
ネルーピーもおどろいているのか、一度、ビクッと体を震わせると、
「そりゃ大変だ」と言って、ラズの肩の上を、左右にいったりきたり、せわしなく走りはじめた。
そしてしまいには、前を見ていなかったのか、それとも、あまりにも動揺していたのか、なぜなのかわからなかったが、ラズの首に、ドシーンと、思いきりぶつかり、尻もちをついて、頭を押さえ出した。
しかし、そんなマヌケなネルーピーのことなど、みんな気にもせずに、長老を見つめながら、衝撃を受けたような顔をして、固まっている。
「まあ……かわいそうに」
リチアが言った。
「ひどいことをするものね」
続けて、レアリルが言った。
「本当に、なんて悪いやつらだ」
フィブロも、怒っているように言った。
「そんな、ラビル……僕と離れたすこしの間に、一体どうして、そんなひどいことになってしまったんだ」
そう言うスピロルは、もう、顔が完全に青ざめてしまっている。
「落ち込んでいるひまなんてないよ、スピロル。あんたは、いまからここにいるみんなと協力して、網に捕らえられているラビルを、いますぐ助けにいかなくちゃならない、重要な仕事ができてしまったんだからね」
スピロルを元気づけるように、長老が言った。
「わかったよ、長老」
まだ顔が青ざめたままのスピロルが、健気にもそう言った。
「あなたのいうとおりだ。もう落ち込むのはやめる」
「それでいいんだよ」
長老が、微笑みながら言った。
目を皿のように、大きくしておどろきながら、ラズが言った。
ネルーピーもおどろいているのか、一度、ビクッと体を震わせると、
「そりゃ大変だ」と言って、ラズの肩の上を、左右にいったりきたり、せわしなく走りはじめた。
そしてしまいには、前を見ていなかったのか、それとも、あまりにも動揺していたのか、なぜなのかわからなかったが、ラズの首に、ドシーンと、思いきりぶつかり、尻もちをついて、頭を押さえ出した。
しかし、そんなマヌケなネルーピーのことなど、みんな気にもせずに、長老を見つめながら、衝撃を受けたような顔をして、固まっている。
「まあ……かわいそうに」
リチアが言った。
「ひどいことをするものね」
続けて、レアリルが言った。
「本当に、なんて悪いやつらだ」
フィブロも、怒っているように言った。
「そんな、ラビル……僕と離れたすこしの間に、一体どうして、そんなひどいことになってしまったんだ」
そう言うスピロルは、もう、顔が完全に青ざめてしまっている。
「落ち込んでいるひまなんてないよ、スピロル。あんたは、いまからここにいるみんなと協力して、網に捕らえられているラビルを、いますぐ助けにいかなくちゃならない、重要な仕事ができてしまったんだからね」
スピロルを元気づけるように、長老が言った。
「わかったよ、長老」
まだ顔が青ざめたままのスピロルが、健気にもそう言った。
「あなたのいうとおりだ。もう落ち込むのはやめる」
「それでいいんだよ」
長老が、微笑みながら言った。
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