182 / 387
9
12
しおりを挟む
ボートを出してからしばらくたって、ラズがオールをこぎながら、あたりをキョロキョロと探しながら言った。
「もう市場が見えないくらい、遠いところまできちゃったよ。大丈夫? 僕たち、ちゃんとリドたちがいる船に、もどれるの?」
不安そうな顔をしながら、ネルーピーが言った。
「もどれるわよ。あまり不安にさせないで、ネルーピー」
自分の心を落ち着かせながら、ラズが言った。
「いまはそれよりも、ラビルを探すことの方が大切よ」
しかし、この時もうすでに、一時間は探していたにもかかわらず、ラビルの姿は、いっこうに見当たらなかった。
その、ラズたちが乗っているボートのとなりで泳いでいるスピロルも、ラズたちとおなじく、そわそわと不安を感じているようだった。その証拠に、スピロルは、海をまっすぐ泳がずに、ジグザグと、不安定な動きをしながら、泳いでいるようだった。
そう言ったことがあって、ラズたちの不安は解消されることなく、どんどんつのっていくばかりだった。
そんな時、
「あっ! 見て! あそこになにか、いるよ!」と、ネルーピーが、なにかを見つけて、前足で指をさしながら、そう声を上げた。
それと同時に、なにやら、いまにも眠ってしまいそうなくらいの、心地のよいハープの音色が、あたりいったいに聞こえてきた。
「なに? なにがいるの?」
ラズは急いで、ネルーピーが指さした場所の周辺を見た。
「ほら、あそこだよ! よく見て。どうやら向こうに、きれいな女の人がいるみたいだ」
興奮した様子で、ネルーピーが言った。
するとそこには、上半身しか見えない後ろ姿の、ハリつやのある美しいプラチナブロンドの髪を持った、肌の白い一人の女の人が、大きな岩の上で、後ろ姿でもわかるくらい慣れた手つきで、ハープを弾きながら、優雅に横座りをしていた。
「まあ、本当だわ」
目を見張りながら、ラズが言った。
「きれいね」
「もう市場が見えないくらい、遠いところまできちゃったよ。大丈夫? 僕たち、ちゃんとリドたちがいる船に、もどれるの?」
不安そうな顔をしながら、ネルーピーが言った。
「もどれるわよ。あまり不安にさせないで、ネルーピー」
自分の心を落ち着かせながら、ラズが言った。
「いまはそれよりも、ラビルを探すことの方が大切よ」
しかし、この時もうすでに、一時間は探していたにもかかわらず、ラビルの姿は、いっこうに見当たらなかった。
その、ラズたちが乗っているボートのとなりで泳いでいるスピロルも、ラズたちとおなじく、そわそわと不安を感じているようだった。その証拠に、スピロルは、海をまっすぐ泳がずに、ジグザグと、不安定な動きをしながら、泳いでいるようだった。
そう言ったことがあって、ラズたちの不安は解消されることなく、どんどんつのっていくばかりだった。
そんな時、
「あっ! 見て! あそこになにか、いるよ!」と、ネルーピーが、なにかを見つけて、前足で指をさしながら、そう声を上げた。
それと同時に、なにやら、いまにも眠ってしまいそうなくらいの、心地のよいハープの音色が、あたりいったいに聞こえてきた。
「なに? なにがいるの?」
ラズは急いで、ネルーピーが指さした場所の周辺を見た。
「ほら、あそこだよ! よく見て。どうやら向こうに、きれいな女の人がいるみたいだ」
興奮した様子で、ネルーピーが言った。
するとそこには、上半身しか見えない後ろ姿の、ハリつやのある美しいプラチナブロンドの髪を持った、肌の白い一人の女の人が、大きな岩の上で、後ろ姿でもわかるくらい慣れた手つきで、ハープを弾きながら、優雅に横座りをしていた。
「まあ、本当だわ」
目を見張りながら、ラズが言った。
「きれいね」
0
あなたにおすすめの小説
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
見える私と聞こえる転校生
柚木ゆず
児童書・童話
「この中に、幽霊が見える人はいませんか?」
幽霊が見える中学1年生の少女・市川真鈴のクラスに転校生としてやって来た、水前寺良平。彼のそんな一言が切っ掛けとなり、真鈴は良平と共に人助けならぬ幽霊助けをすることになるのでした――。
氷鬼司のあやかし退治
桜桃-サクランボ-
児童書・童話
日々、あやかしに追いかけられてしまう女子中学生、神崎詩織(かんざきしおり)。
氷鬼家の跡取りであり、天才と周りが認めているほどの実力がある男子中学生の氷鬼司(ひょうきつかさ)は、まだ、詩織が小さかった頃、あやかしに追いかけられていた時、顔に狐の面をつけ助けた。
これからは僕が君を守るよと、その時に約束する。
二人は一年くらいで別れることになってしまったが、二人が中学生になり再開。だが、詩織は自身を助けてくれた男の子が司とは知らない。
それでも、司はあやかしに追いかけられ続けている詩織を守る。
そんな時、カラス天狗が現れ、二人は命の危険にさらされてしまった。
狐面を付けた司を見た詩織は、過去の男の子の面影と重なる。
過去の約束は、二人をつなぎ止める素敵な約束。この約束が果たされた時、二人の想いはきっとつながる。
一人ぼっちだった詩織と、他人に興味なく冷たいと言われている司が繰り広げる、和風現代ファンタジーここに開幕!!
リョコちゃんと海の守り神。 【トランザニヤ物語SS】
楓 隆寿
絵本
異世界冒険譚【トランザニヤ物語】のSS
ノビの大活躍――いくら丼の奇跡【トランザニヤ物語SS】から派生した物語。
*あらすじ*
リリゴパノアの料理人ノビ。彼の従魔である小鳥・リョコは、氷の王国からの新たな依頼に同行する。
それは「リュウグウノートの故郷へ行き、海の神に感謝を伝える」というものだった。
リョコの祖父はかつて、海に落ちたときに巨大なアンモナイトに助けられ、魚の神と出会ったことがある。
祖父の物語を胸に、リョコは勇気を出して荒波の海へ飛び込み、再びアンモナイトに導かれて神のもとへたどり着く。
神の前でノビは極北の魚介と氷稲を使った料理をふるまい、その味は神の魂を温めた。
魚の神はノビに「海の恵みの象徴」である輝く宝玉を授け、彼の料理人としての道を祝福する。
勇気を出したリョコと、感謝を料理で示したノビ。
二人の絆はより深まり、夜の海には魚たちの舞と満月の光が広がっていった。
#リョコちゃんの恩返し Xにて動画配信中 *AIイラスト
その怪談、お姉ちゃんにまかせて
藤香いつき
児童書・童話
小学5年生の月森イチカは、怖がりな妹・ニコのために、学校でウワサされる怪談を解いてきた。
「その怪談、お姉ちゃんにまかせて」
そのせいで、いつのまにか『霊感少女』なんて呼ばれている。
そんな彼女の前に現れたのは、学校一の人気者——会長・氷室冬也。
「霊感少女イチカくん。学校の七不思議を、きみの力で解いてほしい」
怪談を信じないイチカは断るけれど……?
イチカと冬也の小学生バディが挑む、謎とホラーに満ちた七不思議ミステリー!
君との恋はシークレット
碧月あめり
児童書・童話
山田美音は、マンガとイラストを描くのが好きな中学二年生。学校では黒縁メガネをかけて地味に過ごしているが、その裏で人気ファッションモデル・星崎ミオンとして芸能活動をしている。
母の勧めでモデルをしている美音だが、本当は目立つことが好きではない。プライベートでは平穏に過ごしたい思っている美音は、学校ではモデルであることを隠していた。
ある日の放課後、美音は生徒会長も務めるクラスのクールイケメン・黒沢天馬とぶつかってメガネをはずした顔を見られてしまう。さらには、教室で好きなマンガの推しキャラに仕事の愚痴を言っているところを動画に撮られてしまう。
そのうえ、「星崎ミオンの本性をバラされたくなかったら、オレの雑用係やれ」と黒沢に脅されてしまい…。
マジカル・ミッション
碧月あめり
児童書・童話
小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。
精霊の国に嫁いだら夫は泥でできた人形でした。
ひぽたま
児童書・童話
琥珀は虹の国の王女。
魔法使いの国の王太子、ディランに嫁ぐ船上、おいしそうな苺を一粒食べたとたんに両手をクマに変えられてしまった!
魔法使いの国の掟では、呪われた姫は王太子の妃になれないという。
呪いを解くために、十年間の牛の世話を命じられて――……!
(「苺を食べただけなのに」改題しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる