ラズとリドの大冒険

３

１１

「うそみたい」
「うそじゃないぞ。本当だ」
　いつの間にか、後ろにいるリドが言った。
「まあ、あなた、運転は？」
　驚きながら、ラズが言った。
「今この船、ジオードサンド号の運転は、俺の代わりに、ルビットがしてる」
　あっさりと、リドが言った。
「ルビット？　誰なの、その人」
　初めて聞く人の名前に戸惑いながら、ラズが言った。
「あれ、言ってなかったか？　これまでずっと、一緒に船の旅をしてきた、俺の相棒だよ」
　なんでもないように、リドが言った。
「そんなの、聞いてないわ！　初耳よ」
　ラズは自分の耳を疑った。
「だいたい、どうして今まで、一度も姿を現さなかったの？」
「あいつは、あまり人のいるところに現れたがらない。つまり、シャイなやつなんだ」
　リドは肩をすくめた。
「人のところにはってことは、人じゃないの？」
　疑問に思いながら、ラズが尋ねた。
「ああ、そうさ」
　リドが言った。
「ルビットは、コロボックルなんだ」
「コロボックルですって？」
　ぎょっとしながら、ラズが言った。
「そんな、それ、本当？」
「もちろん、本当だ」
　淡白にリドが言った。
「慣れてきたら、ラズもまた、ルビットの姿を見られる日が来るだろうさ」
　この船に乗っている、まだ見ぬ小人、コロボックル、ルビット。