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「全く、本当に呆れたわ」
首を横に振りながら、ラズが言った。
「さ、お料理をテーブルに並べるから、そこに置いてあるお金、すべてどこかへやってちょうだい」
「あー、わかった。くそ、これだから村の女はきらいなんだ」
リドはそう言うと、いやいや、テーブルからお金をとり、バッグの中に、大切そうにしまった。
まもなくして、ラズ、ラズの肩に乗ったネルーピー、ヨールおじいちゃん、リドの三人と一匹が、全員、夕食の支度が整った、テーブルに着席した。
そのあと皆は、各々、夕食にありついた。
「ラズ、十三歳の誕生日の日から、もうずいぶん時間は経った。いいかげんラズも、この村で、羊飼いを継ぐ気になったじゃろう」
突然、食べる手を止めた、ヨールおじいちゃんが言った。
ラズはヨールおじいちゃんを見ると、
「私、まだ諦めたわけじゃないわ」と言った。
「なんじゃと? まだ諦めとらんのか」
ヨールおじいちゃんは、呆気に取られながら言った。
「そりゃ困ったことじゃ。お前は一体いつになったら、諦めてくれるんじゃ」
「諦めることなんて、一生ないわ。ヨールおじいちゃん」
ラズが断言した。
「お前もわしに似て、頑固なところもあるもんじゃな」
ヨールおじいちゃんが、やれやれというように、頭を振った。
「跡継ぎがほしいのか? ヨールじいさん」
いきなりリドが、二人の話に割って入った。
ヨールおじいちゃんは、リドがこの話に興味を示したことに、少し驚きながらも、
「ああ、そうじゃ。この家を継ぐものがおらんかったら、誰も羊の世話をするものが、いなくなってしまうからな」と言った。
「そうか」
リドは、なにかを深く考えているように、そう言った。
「なんならリド、お前さんがなってもいいんじゃよ」
ヨールおじいちゃんが、にこやかにそう言った。
首を横に振りながら、ラズが言った。
「さ、お料理をテーブルに並べるから、そこに置いてあるお金、すべてどこかへやってちょうだい」
「あー、わかった。くそ、これだから村の女はきらいなんだ」
リドはそう言うと、いやいや、テーブルからお金をとり、バッグの中に、大切そうにしまった。
まもなくして、ラズ、ラズの肩に乗ったネルーピー、ヨールおじいちゃん、リドの三人と一匹が、全員、夕食の支度が整った、テーブルに着席した。
そのあと皆は、各々、夕食にありついた。
「ラズ、十三歳の誕生日の日から、もうずいぶん時間は経った。いいかげんラズも、この村で、羊飼いを継ぐ気になったじゃろう」
突然、食べる手を止めた、ヨールおじいちゃんが言った。
ラズはヨールおじいちゃんを見ると、
「私、まだ諦めたわけじゃないわ」と言った。
「なんじゃと? まだ諦めとらんのか」
ヨールおじいちゃんは、呆気に取られながら言った。
「そりゃ困ったことじゃ。お前は一体いつになったら、諦めてくれるんじゃ」
「諦めることなんて、一生ないわ。ヨールおじいちゃん」
ラズが断言した。
「お前もわしに似て、頑固なところもあるもんじゃな」
ヨールおじいちゃんが、やれやれというように、頭を振った。
「跡継ぎがほしいのか? ヨールじいさん」
いきなりリドが、二人の話に割って入った。
ヨールおじいちゃんは、リドがこの話に興味を示したことに、少し驚きながらも、
「ああ、そうじゃ。この家を継ぐものがおらんかったら、誰も羊の世話をするものが、いなくなってしまうからな」と言った。
「そうか」
リドは、なにかを深く考えているように、そう言った。
「なんならリド、お前さんがなってもいいんじゃよ」
ヨールおじいちゃんが、にこやかにそう言った。
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