ルーカスと呪われた遊園地（中）

６ 乙葉大ピンチ

３８

「なに？」
　ルーカスはその光る物をすぐには発見できずに、いぶかりながら言った。
「ほら、あそこ！　見えない？　光ってるでしょ？」
　乙葉はルーカスがわかるように身を乗り出しながら、指をさす手をさらに伸ばして教えた。
　すると、ルーカスは目をこらして、柱を見はじめた。
　それでようやくわかったのか、ルーカスは納得したように、
「本当だ」と言って、乙葉とおなじく、光る物に釘付くぎづけになった。
「もしかしてあれ、鍵じゃない？」
　乙葉が尋ねた。
「まさか！　僕、長い間ここに住んでるけど、こんなところに鍵があるなんて、聞いたことがないよ」
　そんなことあるわけがないというように、ルーカスは否定した。
「でも、鍵かもしれないわよ。ルーカス、お願い、鍵のある場所まで移動して」
　どうしても鍵だとしか思えなかった乙葉は、ルーカスに否定されても、あきらめずにお願いした。
「仕方ないな、わかったよ」
　渋々、ルーカスが同意した。
　そして二人は、鍵のある柱に向かって、飛んでいった。柱に近づくにつれて、その光る物がなんなのか、徐々に明らかになっていった。
「やっぱり！　鍵だわ！」
　乙葉が興奮した様子で言った。
　その鍵は、柱に紐ひものような物でくくりつけてあった。紫色をしていて、毎回同様に十本あった。
「おどろいたな、いままで一度も気がつかなかったよ」
　面食らったようにルーカスが言った。
　乙葉はルーカスのその言葉に、なんだか違和感を覚え、首をかしげた。
「ん？　ねえ、さっきも思ったんだけど、その言い方、なんだかおかしくない？　それだと、ほかの場所に鍵があることは元から知ってた、みたいな言い方に聞こえるわ」
　それを聞いたルーカスは、咄嗟にバツの悪そうな顔をすると、
「あ、まずい」と言った。