223 / 244
6 乙葉大ピンチ
25
しおりを挟む
かがみながら、困った顔で内田が言った。
「それに、諦めるのはまだはやいよ。うまくやれば、あの二人を助けることができるかもしれない」
助けられると聞いて、柚子はパッと泣き止んで顔を上げ、
「え、本当に? どうやって?」と、希望を見出したような目をして尋ねた。
「実は、僕にいい考えがあるんだ」
内田はほほえみながら、柚子に向かって、パチンとウインクした。
一体どんな考えなのだろうと疑問に思った柚子は、呆然としながら口を開け、内田を見つめた。
「おい、そのいい考えとやらを、もったいぶってねえで、はやく教えろよ。じゃないとあいつら、本当に落っこちて、死んじまうぞ」
銀司が苛立った様子で、内田を急かした。
「わかった」
素直に内田が言った。
「それは、乙葉ちゃんと京一くんが落ちてくるかもしれない地点に、大きなマットのような、クッションになるものを置くんだ。そうしたら、多少ケガをすることはあっても、死ぬことはないと思うよ」
それを聞いた柚子は、途端におどろいた顔をすると、
「たしかに!」と、これまでの暗い気持ちが、一気に吹っ飛ぶような高い声で、同意した。
「それ、すごくいい考え」
「よし、そうと決まれば、はやくマットを探しに行こうぜ」
張り切って銀司が言った。
「でも、そのマットがどこにあるかが問題なんだよね。ひょっとしたら、ここにはないのかもしれないし……」
内田は言いながら、頭を抱えた。
「それならまかせて! 私、ちょうどマットがある場所を知ってるの!」
明るく柚子が言った。
「本当に? それはすごい」
目を丸くしておどろいている内田が、柚子を褒めた。
「じゃあ、いますぐそこへ連れて行ってくれよ、嬢ちゃん。急げばまだ間に合うだろ」
「それに、諦めるのはまだはやいよ。うまくやれば、あの二人を助けることができるかもしれない」
助けられると聞いて、柚子はパッと泣き止んで顔を上げ、
「え、本当に? どうやって?」と、希望を見出したような目をして尋ねた。
「実は、僕にいい考えがあるんだ」
内田はほほえみながら、柚子に向かって、パチンとウインクした。
一体どんな考えなのだろうと疑問に思った柚子は、呆然としながら口を開け、内田を見つめた。
「おい、そのいい考えとやらを、もったいぶってねえで、はやく教えろよ。じゃないとあいつら、本当に落っこちて、死んじまうぞ」
銀司が苛立った様子で、内田を急かした。
「わかった」
素直に内田が言った。
「それは、乙葉ちゃんと京一くんが落ちてくるかもしれない地点に、大きなマットのような、クッションになるものを置くんだ。そうしたら、多少ケガをすることはあっても、死ぬことはないと思うよ」
それを聞いた柚子は、途端におどろいた顔をすると、
「たしかに!」と、これまでの暗い気持ちが、一気に吹っ飛ぶような高い声で、同意した。
「それ、すごくいい考え」
「よし、そうと決まれば、はやくマットを探しに行こうぜ」
張り切って銀司が言った。
「でも、そのマットがどこにあるかが問題なんだよね。ひょっとしたら、ここにはないのかもしれないし……」
内田は言いながら、頭を抱えた。
「それならまかせて! 私、ちょうどマットがある場所を知ってるの!」
明るく柚子が言った。
「本当に? それはすごい」
目を丸くしておどろいている内田が、柚子を褒めた。
「じゃあ、いますぐそこへ連れて行ってくれよ、嬢ちゃん。急げばまだ間に合うだろ」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
GREATEST BOONS+
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!

すぐケガしちゃう校長先生を止める話
青西瓜(伊藤テル)
児童書・童話
この小学校の生徒会長には大切な仕事があった。
それは校長先生を守ること。
校長先生は少し特殊な個性や能力を持っていて、さらにそれを使ってすぐケガしちゃうし、大声で泣いてしまうのだ。
だから生徒会長は校長先生のお守りをしないといけないのだ。
それを補助してくれるはずの生徒副会長の桜さんも天然ボケがすごい人で、今日も今日とてハチャメチャだ。
これは僕と校長先生と桜さんの話。

あふれる気持ち
もち紬
児童書・童話
――涸れた心いっぱいに、
冷たい水が満ちていきました。
大人になってすっかり心が干からびてしまったように感じます。
そんな心すら揺さぶってくれる話に出会うと、少しだけ、子どもの頃の感覚を思い出します。
童話っぽい雰囲気ですが、「苦しんできた大人にこそ沁みる」がコンセプトです。
※カクヨムにも掲載しています。(ひよこもち)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる