221 / 244
6 乙葉大ピンチ
23
しおりを挟む
柚子は二人に話しかけた。
「うーん、ジェットコースターは止められないんだよな」
銀司が走りながら、悩むように言った。
「だったら動いてる状態で、あの姉ちゃんだけを引き抜いて、取り出すってのはどうだ?」
「そんなの、どうやって?」
首をかしげながら、けげんに思った柚子が言った。
「わからねえけど、棒かなんかでさあ」
言いながら、銀司は棒を動かす身ぶり手ぶりをしている。
「魚釣りじゃないんだから、適当なこと言わないでよ」
目を細めて柚子が怒った。
「まったく、本当にあなたってバカなのね」
銀司は柚子のとなりに走り出てくると、
「なんだと⁉︎」と言って、にらみをきかせた。
「まあまあ、銀司」
いまも辛そうに走っている、内田がなだめた。
すると突然、上から粉のようなゴミがふってきた。その瞬間、内田はハッとした顔になって上を見上げると、走るのをやめた。
「みんな、大変だ! 上を見て!」
内田のあわてふためいた言葉で、三人は一斉に、頭上にあるジェットコースターのレールをながめた。
「え……」
柚子は目の前の衝撃的な光景を見て、思わず言葉を失い、銀司と一緒に、その場で立ちすくんだ。
「レールが、途中でこわれてる……!」
小屋からここまで走っている間に、すさまじい爆発のような音が聞こえてきてはいたけれど、その時はなにが起こったのか、さっぱりわからなかった。でもいま、ようやくその音の正体がわかり、柚子はしばらく呆気に取られた。
「一体どうしてなんだ」
打ちのめされたような顔をした、内田が言った。
「車両は⁉︎ お姉ちゃんが乗っている車両はどこ⁉︎」
「うーん、ジェットコースターは止められないんだよな」
銀司が走りながら、悩むように言った。
「だったら動いてる状態で、あの姉ちゃんだけを引き抜いて、取り出すってのはどうだ?」
「そんなの、どうやって?」
首をかしげながら、けげんに思った柚子が言った。
「わからねえけど、棒かなんかでさあ」
言いながら、銀司は棒を動かす身ぶり手ぶりをしている。
「魚釣りじゃないんだから、適当なこと言わないでよ」
目を細めて柚子が怒った。
「まったく、本当にあなたってバカなのね」
銀司は柚子のとなりに走り出てくると、
「なんだと⁉︎」と言って、にらみをきかせた。
「まあまあ、銀司」
いまも辛そうに走っている、内田がなだめた。
すると突然、上から粉のようなゴミがふってきた。その瞬間、内田はハッとした顔になって上を見上げると、走るのをやめた。
「みんな、大変だ! 上を見て!」
内田のあわてふためいた言葉で、三人は一斉に、頭上にあるジェットコースターのレールをながめた。
「え……」
柚子は目の前の衝撃的な光景を見て、思わず言葉を失い、銀司と一緒に、その場で立ちすくんだ。
「レールが、途中でこわれてる……!」
小屋からここまで走っている間に、すさまじい爆発のような音が聞こえてきてはいたけれど、その時はなにが起こったのか、さっぱりわからなかった。でもいま、ようやくその音の正体がわかり、柚子はしばらく呆気に取られた。
「一体どうしてなんだ」
打ちのめされたような顔をした、内田が言った。
「車両は⁉︎ お姉ちゃんが乗っている車両はどこ⁉︎」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

すぐケガしちゃう校長先生を止める話
青西瓜(伊藤テル)
児童書・童話
この小学校の生徒会長には大切な仕事があった。
それは校長先生を守ること。
校長先生は少し特殊な個性や能力を持っていて、さらにそれを使ってすぐケガしちゃうし、大声で泣いてしまうのだ。
だから生徒会長は校長先生のお守りをしないといけないのだ。
それを補助してくれるはずの生徒副会長の桜さんも天然ボケがすごい人で、今日も今日とてハチャメチャだ。
これは僕と校長先生と桜さんの話。
夏から夏へ ~SumSumMer~
崗本 健太郎
児童書・童話
作者、崗本 健太郎の小学生時代の回顧録であり、
誰しも経験する子供の頃の懐かしい思い出が詰まっている。
短編が150話ほど収録されており、
通勤や就寝前など隙間時間にも読みやすい構成だ。
作者と読者との地域性や遊びの違いや、
平成初期の時代を感じさせる作風も魅力である。
日常の喧騒を忘れて癒されたい人は是非!!
※毎日20時公開 全48話
下記サイトにて電子書籍で好評販売中!!
Amazon-Kindle:www.amazon.co.jp/kindle
BOOK WALKER:www.bookwalker.jp

壊れたオルゴール ~三つの伝説~
藍条森也
児童書・童話
※伝説に憧れただけのただの少年が、仲間と共に世界の危機に立ち向かい、世界をかえる物語。
※第二部一一話あらすじ
マークスの名を継いだ現代の英雄の帰還。それに呼ばれたように集める仲間たち。そして、ついに動き出したパンゲアの正規騎士団。
押しよせる大軍。
激化する戦闘。
そのなかで、どうしようもなく思い知らされる英雄と凡人の差。置き去りにされた凡人は守るべきもののために覚悟を決める。
※注) 本作はプロローグにあたる第一部からはじまり、エピローグとなる第三部へとつづき、そこから本編とも言うべき第二部がはじまります。これは、私が以前、なにかで読んだ大河物語の定義『三代続く物語を二代目の視点から描いた物語』に沿う形としたためです。
全体の主人公となるのは第一部冒頭に登場する海賊見習いの少年。この少年が第一部で千年前の戦いを目撃し、次いで、第三部で展開される千年後の決着を見届ける。それから、少年自身の物語である第二部が展開されるわけです。
つまり、読者の方としてはすべての決着を見届けた上で『どうして、そうなったのか』を知る形となります。
また、本作には見慣れない名称、表現が多く出てきます。当初は普通に『魔王』や『聖女』といった表現を使っていたのですが、書いているうちに自分なりの世界を展開したくなったためです。クトゥルフ神話のようにまったく新しい世界を構築したくなったのです。そのため、読みづらかったり、馴染みにくい部分もあるかと思います。その点は私も気にしているのですが、どうせろくに読まれていない身。だったら、逆に怖いものなしでなんでもできる! と言うわけで、この形となりました。疑問及び質問等ございましたらコメントにて尋ねていただければ可能な限りお答えします。
※『カクヨム』、『アルファポリス』、『ノベルアップ+』にて公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる