ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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6 乙葉大ピンチ

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   悲しそうに銀司が言った。
「まあ、そんな気の強い嬢ちゃんのこと、俺はそんなに嫌いじゃないぜ」
「あっそ、それはどうも」
 そっけなく柚子が言った。
「外に出たら、あんたのこと警察に通報してやるから、覚えておきなさい」
「おお、こわ」
 柚子がこわい顔でおどしたにもかかわらず、本気でこわがってなさそうに、銀司が自分を抱きしめた。
「ふん」
 銀司の態度が気に入らない柚子は、不機嫌になって鼻を鳴らした。
「ところで、どうしたんだ? そんなに急いで」
 いぶかしげに銀司が尋ねた。
「うるさいわね」
 急いでいる時に話しかけられて、柚子は憤怒ふんどした。
「いまはあんたにかまってる暇ないの! こっちは一大事なんだから!」
「おいおい、その様子じゃ、ただ事じゃねえな」
 おどろきと期待の入り交じった顔で、銀司が言った。
「一体、なにがあったんだ? なあ、教えてくれよ」
「あー、もう! だから、うるさいって言ってるでしょ! あんたって、本当にしつこいわね」
 そう言うと、柚子はふいっと顔をそむけ、これまでよりも速い速度で走り出した。
 すると、あっという間に柚子と銀司との距離が離れていった。
 銀司は距離が離されようとおかまいなしに、なにがあったのか興味津々で、
「おい、待ってくれよ! 俺もいく」と言って、相変わらず柚子の後ろを追いかけつづけてきた。
「ついてこないでよ!」
 柚子が大声で言った。
 銀司はもはや、権太や四郎のことなど、まるで忘れてしまったかのように元気になっていた。柚子はそんな銀司をあきれると同時に、うっとうしく思った。
 まもなくして、ようやく小屋の前につくと、柚子はわきめもふらずに扉を押し開けた。
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