ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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5 地獄行きジェットコースター

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 乙葉はいつも以上にやる気を出し、腕まくりをして言った。
「今日こそ、絶対に鍵を探してやるんだから!」
 最初はいやいやだった乙葉だったが、ここまできたら、自分が一番に探して、みんなを先行き不安な気持ちから解放させる、という意気込みで取り組むことにした。そのため、乙葉は誰よりも機敏きびんに動いた。
 しかし、前半の調子はよかったものの、乗り物の半分ほど調べたところで、乙葉の力はあっという間に尽きてしまい、後ろにあった座席に倒れ込むようにして、どさっと座り込んだ。
「つかれたあ」
 だらん、と背もたれに背中をあずけて、乙葉が言った。
「もう鍵探しなんてうんざりだわ」
 すると、レールの向こうの外から涼しい風が吹いた。乙葉の暑くなった体を冷やすように、反対側の外に向かって吹き抜けていく。
「涼しいー。まるで天国みたい」
 乙葉はそう言ってまわりを見ると、懸命に鍵を探している、みんなの姿が目に入った。
 京一と柚子はロッカーの前にいて、ふたりとも一つずつロッカーを開けては、丁寧にすばやく中を確認していた。
 操作室にいる久遠は、椅子の上にあがって立ち、モニターの裏を手探りで、くまなく探しているようだった。
 みんな、それぞれ真剣にがんばっている。
 それなのに乙葉はというと、みんなの様子をながめながら、冷たい風を感じつつ、あまりの心地よさに、思わず眠りそうになっていた。すこしの罪悪感はあったけれど、眠りの誘惑にあらがうことはできず、そのまま天井を見てうとうとしていた。
 すると、どこからか空のペットボトルが飛んできて、乙葉の顔を直撃した。
「いったあい!」
 体を起こし、飛んできたペットボトルをつかみながら顔をしかめた乙葉が、悲痛な声を上げた。
「おい、乙葉! サボんな」
 まるで野球の球を投げ終わったあとのような体勢をして、京一が怒鳴った。
 後ろでは呆れた顔をした柚子が、その様子をだまって見つめている。
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