ルーカスと呪われた遊園地（中）

５ 地獄行きジェットコースター

２８

　乙葉が言うと、全員、口をつぐんでなにも言わなくなった。
　しかし、しばらくして、
「あ！　見てください。あそこに操作室がありますよ」と、久遠が指をさしながら、明るくそう言った。
　久遠が指をさした先には、電話ボックスよりもかなり大きなサイズの青いボックスがあった。そのボックスには透明の窓ガラスが張りめぐらされていて、中が丸見えになっていた。
「止め方のことはひとまず置いといて、とにかくいってみましょうよ」
　続けて久遠が言った。
　そして早速、みんなでその操作室にいってみると、操作室の中にある台の上は、これまでの乗り物と同様、大きな赤色のボタンや小さな黒色のボタン、そのほかにも色や形のちがうボタン、数字がたくさん書かれているメーター、マイクなどが設備されていた。しかし、メリーゴーランドや空中ブランコとちがって、備えつけてあるものの量が多く、操作が少々複雑なものになっているようだった。その上、ボックスの天井にはモニターが吊るされていて、いま動いているジェットコースターの座席の様子が見えるようになっていた。
「うーん、一見単純そうに見えるけど、私にはなにがなんだかさっぱりだわ」
　顔をしかめながら、乙葉が言った。
「いろいろありすぎて難しそう」
「お姉ちゃん、バカだもんね」
　柚子がさらりとそう言ったあとで、やってしまったとでもいうようにハッとした顔をして、口をおおった。
「柚子ー」
　声を低くして、ものすごい剣幕けんまくをしながら、乙葉が柚子にせまった。
　せまられた柚子は、乙葉がまだなにもしていないにもかかわらず、降参こうさんだとでもいうように、両手をひかえめに胸の前に出しながら目をそらし、乙葉から離れるようにあとずさった。
「いまなんて言ったの？」
　乙葉が問い詰めた。
「いいえ、なにも？」
　とぼけた顔をしながら、柚子が言った。
「誤魔化ごまかしたってムダよ」
　人さし指で柚子の胸をトントンと叩きながら、乙葉が言った。