ルーカスと呪われた遊園地（中）

５ 地獄行きジェットコースター

２７

「え⁉︎ なになに？」
　柚子がこわがるように言った。
　音のする方を見ると、どうやら暴走した車両が、スピードを落とすことなく、レールの上を駆け抜けていっているようだった。
　乙葉は、車両が横を通る最中、顔に吹きつける風を手でガードしながら、車両の行方をしずかに見つめた。ほかの三人も唖然あぜんとしながら、乗り物が暴走している様子を目で追っていた。
　それらはすべて、一瞬の出来事だった。いまでは、風がすっかりおさまっていて、車両はふたたび、外のレールの上を、勢いよく走り続けている。
「すごいスピード……」
　感心したように、柚子が言った。
「あれじゃ、まるで新幹線と変わらないわ」
「たしかに」
　乙葉が言った。
「じゃなくて！　話を戻すけど、予備の車両がないっていうことは、ここにある乗り物は、あの動いてる車両だけってこと？」
「どうやらそのようだな」
　即座に京一が答えた。
「ということはつまり、あの暴走した車両を止めて探すしか、ほかに乗り物の中を探す方法がないというわけだ」
「それしか方法がないなんて、一体どうして……」
　不審ふしんに思いながら、乙葉が言った。
「誰かがそうするように仕向けたんだ。俺たちが簡単に鍵を探せないように」
　すこし怒ったように、京一が言った。
「しかしこれで、探す手間が大幅にはぶけたということだ」
「素直に喜んでいいのか悪いのか、よくわからないですね」
　苦笑しながら久遠が言った。
「でもさ、止めるって言っても、どうやってあの暴走した車両を止めるの？」
　不思議そうに柚子が尋ねた。
「それは……」