ルーカスと呪われた遊園地（中）

５ 地獄行きジェットコースター

１７

　柚子が言った。
「いや乗らない。安全が保障されていなくて、危険かもしれないからな」
　京一がたんたんと言った。
「よかったー。私、ジェットコースター苦手なのよね」
　笑顔の柚子が、心底ホッとした様子で、胸に手を置いた。
「空中ブランコは乗れるのに？」
　乙葉が不思議な様子で尋ねた。
「ジェットコースターと空中ブランコは、まったくの別！」
　こわい顔をした柚子が、腕を下に勢いよく下ろしながら、声を張り上げた。
「ジェットコースターなんておそろしくて、とてもじゃないけど無理よ」
「そんなに？」
　内田がおどろいたように言った。
「そっかあ。そういえば柚子って、思い出してみれば、ジェットコースター苦手だったわよね」
　幼少期の柚子を思い出しながら、乙葉が言った。
「苦手なんてもんじゃないわ。とにかく、私はジェットコースターには絶対に乗らないから」
　胸の前で腕を組みながら、憤慨ふんがいした様子の柚子が、きっぱりと言った。
「ということで、乗るならいかない、乗らないならいく」
「だから、ジェットコースターには乗らないって言ってるだろ」
　呆れながら京一が言った。
「僕もジェットコースターは苦手な方ですね。というか、乗り物自体、そんなに得意ではないです」
　自信なさそうに、久遠が言った。
「えー、どうして？  ジェットコースター、あんなに楽しいのに」
　乙葉が納得のいかない顔をして、言った。
「お姉ちゃんは私とちがって、昔から絶叫系が、大得意だものね」
　柚子が言った。
「こわいもの知らずっていうか、なんというか」
　言われた乙葉は、えっへんとでもいうように、胸を張って澄すましていた。