ルーカスと呪われた遊園地（中）

５ 地獄行きジェットコースター

１４

「みんな、どこに行ってたの？」
「なにも言わずに僕たちを小屋に置いていくなんて、ひどいじゃないか」
　小屋に戻って早々、ルーカスと内田が、不満を口にした。
「だって、ふたりとも気持ちよさそうに寝ていたんだもの。仕方ないじゃない？」
　乙葉が言った。
　それを聞いたルーカスは、途端にふくれっ面になって、
「僕もいきたかった」と言った。
「なら、次からはもっと早起きをすることだな」
　京一が言った。
「まあ、それもそうか」
　内田があきらめたように言ったあと、急に首をかしげながら、
「あれ？　権太と四郎の姿が見えないけど、どうしたの？」と言った。
「ああ……それは……」
　乙葉が言いづらそうにしていると、
「あの二人は死んだよ」と、かわりに京一がはっきりと答えた。
「え⁉︎　死んだって、一体どうして」
　内田は衝撃を受けたような顔をした。
「バーサークに殺されたんだ」
　ためらいもなく、即座に京一が答えた。
「それじゃ、夜中に抜け出したんだね。運の悪い人たちだ」
　これまでふくれっ面になっていたルーカスだったが、はやくも機嫌を直し、ぷかぷかと浮きながら他人事のように言った。
「でも、銀司は生き残ったってことだよね」
　小屋の中に入らず、外で一人座り込んでいる銀司を見て、内田が言った。
「ひとりだけでも生きていたみたいでよかったよ。それで、どうして銀司を昨日みたいに縛っておかないの？」
「私たちの仲間になったから、もう縛る必要はなくなったんです」
　乙葉が言った。
「仲間に？　銀司が？」
　ルーカスがおどろいたように言った。
「信用して大丈夫なの？　盗っ人だよ」
「まあ、なにかあればまた縛ればいいだけだから」
　乙葉が説得しようとして言った。
　すると、これまで外にいた銀司が、いきなり小屋の中に入ってきた。
「おい、お前ら、さっきから人が大人しく黙っていれば、俺を一体なんだと思ってやがるんだ！　まるで躾しつけされてない犬みたいに、好き勝手に言いやがって」