ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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4 財宝強盗

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「それだけじゃなくて、柚子が京一のことを好きなことも、もっと前から気づいていましたけどね」
「けど、姉妹の仲が崩れるのがいやで、それもあえて気づかない振りをしてたと」
 内田が補足した。
「ああ、そう言えなくもないですね」
 乙葉は完全に否定することはできなかった。なぜなら実際に、柚子に気を遣っていたからだ。
 でも、問題は柚子のことだけではない。これまでずっと、ただの幼なじみだと思ってきた京一のことを、いまになってあっさりと好きだと認めてしまうことが、なんだかむず痒くというか、照れくさいというか、とにかくそういう都合の悪いこともあるからだ。
 内田は乙葉のいうことにたいして、うんうんと頷きながら、
「あるあるだよねー。でも、別に悩むことなんてないさ。もっと自分の気持ちに正直になればいい」と言った。
「ああ、自分の気持ちに、素直になる、ですか」
 心に深く響いた言葉を、乙葉は繰り返し言った。
「それはなんだか、いい言葉ですね」
「でしょ? それでさ、この遊園地にきたからには、せめて後悔しないでいようよ。だって、いつ死ぬかわからないんだし——おっと、縁起でもないことを言ってしまった」
 内田はとっさに口をおおって、これ以上、なにか下手なことを言わないようにした。
「まあ、もう夜もおそいし、そろそろ寝ようよ。僕はまぶたが重くなってきたから、一足先に小屋に入って、ねむることにするね。それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
 乙葉は内田が小屋にもどってからも、気が済むまで外に出て、一人で星を眺め続けていた。

                 ♢♢♢
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