ルーカスと呪われた遊園地（中）

４ 財宝強盗

２５

「あら、せっかくお気遣いしていただいたのに悪いですけど、さすがにそれは言えませんわ」
　気まずく思いながら、乙葉が言った。
「だって、まだ内田さんと知り合ったばかりですもの」
「でも僕、乙葉ちゃんが悩んでること、言われなくてももうわかってるよ」
　内田が言った。
「京一くんのことでしょ？」
　途端、乙葉は心臓をギュッと掴まれた気分になり、
「京一？　な、なんで私がそんなこと……」と、動揺しながら言った。
「ほら、いまみたいに態度とかでさ、バレバレだよ」
　内田は笑って肩をすくめた。
「もう、内田さん。そんなこと言わないでください。恥ずかしい……」
　乙葉は顔を真っ赤にして、茹でダコのようになった。
「まあでも、当の本人は、まだ気づいていないみたいだけどね」
　星を見ながら、内田がさらりと言った。
「乙葉ちゃん、京一くんのこと好きなんでしょ」
「いや、だからそれは……」
　なんて言ったらいいかわからずに、乙葉は言葉に詰まった。
「ちがわないでしょ？　だから、さ、いい加減、認めちゃいなよ」
　痺れを切らしたように、内田が言った。
「はあ、内田さんには、本当に参っちゃうわ」
　乙葉は困りながらそう言った。
「でも、それだけ詰め寄られたから、仕方なく言います。本当は京一のこと好きだって、ちゃんと気づいてますよ」
　続けてはっきりと乙葉が言うと、
「でも、京一くんは乙葉ちゃんの幼なじみだし、好きだって気づいていても、ずっと気づかない振りしてたんでしょ？」と、なにもかもわかっているように内田が言った。
「ええ、まあ、そうとも言えます……」
　もうこうなったら、このさい、なんでも素直に打ち明けてしまおうと言う気持ちで、乙葉が言った。