ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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2 不審人物

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 すると、まだまだ、箱からあふれるほど、たくさん入っていたはずの食料が、前よりもすこし減って、箱すれすれの量になっていた。
「誰か、こっそり食べたわね?」
 乙葉が疑うような目をして、みんなを見た。
「ルーカス、あんたでしょ?」
 とくになにも証拠はないはずだが、普段の行いから見て、柚子は、ルーカスが犯人だと、勝手に決めつけたようだった。
「ちがうよ! 僕じゃないよ!」
 両こぶしを上げながら、憤慨ふんがいしてルーカスが言った。
「じゃあ、一体誰が食べたっていうの?」
 ルーカス以外は考えられないとでもいうように、柚子が尋ねた。
 すると一瞬、沈黙がながれた。
 全員、箱の中をのぞき込んで、まるで時が止まったように、動かなくなった。
「俺たちも、最初はルーカスをうたがった」
 落ち着き払った京一が、最初に沈黙をやぶった。
「はい。でも、ルーカスさんは、僕たちとずっと一緒にいましたし、とっていたら絶対にわかったと思うので、犯人じゃないということがわかりました」
 それを久遠が引き取った。
「きっと、僕たちがゴーカートにいっている間に、誰かに食べられてしまったに、ちがいありません」
「とするとだ。その犯人は、乙葉たちが、さっき言っていたやつの可能性が高い」
 京一が言い添えた。
「なるほど……」
 考え直すように、柚子が言った。
「ほら! だから言ったでしょ? 僕じゃないって!」
 まっさきに、濡れ衣をきせられたルーカスは、柚子にたいして、腹を立てているようだった。
「ごめんごめん、私が悪かったわよ」
 柚子は申し訳なさそうな顔をして、ルーカスに謝った。
「それでその犯人が、元からいたやつなのか、あとからきたやつなのか——詳しいことは、そいつに聞いてみないかぎりわからないが、俺たち以外に、誰かいるんじゃないかっていう気配は、前からしていた。だから別に、それほどおどろきはしないが、そいつが何者なのか、たしかめる必要がある」
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