ルーカスと呪われた遊園地（中）

１ 絶対絶命ゴーカート

５８

　京一が断言した。
「たしかに、雨が降ると足場も悪ければ、視界も悪いですし、なにより空気がジメジメしていて、探しづらいということもありますもんね」
　久遠がつけ加えるように言った。
「そうだ。残念だが、今日はここまでだ」
　京一は苦々しい顔つきをした。
「仕方ない、こういう日もあるわよね」
　乙葉が楽観的になって言った。
　ルーカスはこの話が終わると、体のこわばりがとけ、すぐに元にもどったように見えた。
　今回のことで、ルーカスはどうやら、ジェットコースターと聞くと、体をこわばらせる癖があることがわかった。
　もしかして、ジェットコースターがこわいのかな？　と乙葉は思った。
「ああ。それで、乙葉と久遠はケガの具合、もう大丈夫なのか？」
　京一が二人を見て尋ねた。
「はい、なんとか」
「ええ、私も大丈夫」
　二人とも元気に言った。
「ならよかった。今日は十分に休むといい」
　京一がいたわるように言った。
　結局、今回も見つけた鍵は、ダミーだった。
　残念な結果に終わってしまったが、食料はまだ残っているし、そのほかの余裕も十分にある。
　だから、鍵を見つけるまでは、絶対に諦めない。
　乙葉は、外の世界で待っている人たちのことを考え、心の中で、この遊園地にある見えないなにかに対して、ただひたすらに、闘志を燃やした。