ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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1 絶対絶命ゴーカート

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 それだけではなく、熱心に鍵探しに没頭している。
 乙葉はそんな柚子に感心し、自分もやらなければと感化され、さらに鍵探しに集中することにした。
 やがて、ルーカスが速度を上げたせいか、京一とルーカスとの距離がかなり離れ、話し声すら聞こえなくなった。
「あの二人、私たちより、ずいぶん遠くまでいっちゃったみたいね」
 乙葉が言った。
「ですね」
 久遠がそう返事をしたあと、乙葉はうつむくと、
「京一に、ルーカスを運転させてあげたら、なんて、言わなきゃよかったかしら。京一、困っていたみたいだし、あれだと探しづらいでしょうね……」と、後悔しながら言った。
 久遠は乙葉をちらりと見ると、
「そんな、気にしないで大丈夫ですよ。ルーカスさん、運転するのは、すこしでいいって言っていましたし。それにあの状態じゃ、きっとルーカスさんは、運転させてあげるまで、運転させてほしいと言い続けていたと思いますし」と、安心させるように言った。
「そっか、そうよね。そう言われると、なんか元気出てきたわ」
 言いながら、乙葉はみずからを鼓舞こぶするように拳を握り、両手をかかげて久遠を見た。
「よかったです」
 カートを運転しながら、久遠は微笑んだ。
「あ、でも、どうやら止まったみたいですよ」
 前方を見ると、久遠の言うとおり、京一とルーカスのカートが、コースの端で止まっているのが見えた。
 どうしたのだろうと思いつつ、しばらく様子をうかがいながら、京一たちのカートを横切ると、それがなぜなのかが明らかになった。
 二人はカートからおりて、ふたたび席を交換している。
 やっとルーカスの気がすんだのだろう。乙葉は、気にしていた胸のつかえがとれたような気がした。
 そして、乙葉と久遠が乗るカートは、最初とおなじように、また先頭に戻った。
 それから四百メートルくらい走ったと思われるころ、乙葉はおもむろに、久遠に話しかけた。
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