ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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1 絶対絶命ゴーカート

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「ダメだ」
 即座に、京一がきびしく答えた。
「俺たちには本当に、遊んでいる時間なんてないんだ。それに、お前が運転したら、俺の命が危ない」
 わからず屋の京一に、ルーカスはムッとしたのか、眉をつり上げながら、顔を赤くして、大きく頬をふくらませた。
 ついにそれを見かねた乙葉は、
「京一、ちょっとくらい別にいいでしょ? 運転させてあげなさいよ」と、前方から、口を出した。
 味方があらわれたことで、ルーカスはふくれっ面をやめ、希望を見出したように、顔をパッと明るくさせた。
「お前、人の気も知らないで……」
 京一は怒ったように、顔をゆがめた。
「ねえ、ルーカス。ちょっと運転したら、大人しく鍵探しするのよね?」
 乙葉が尋ねた。
「うん! 探す!」
 聞き分けよくルーカスが言った。
「ほら、ルーカスもこう言ってることだし」
 そう言うと、乙葉はちらりと京一を見て、反応を気にした。
「甘やかすなよ。付け上がるだろ」
 つっけんどんに京一が言った。
「そんなこと言わずに、ね? いいでしょ?」
 乙葉は唇をしまい込みながら、ルーカスと同じように、両手を合わせてお願いした。
 それでついに、京一は諦めたような顔をすると、
「はあ……もう好きにしろ」と言った。
「わーい!」
 ルーカスは大いに喜んでいる。
「よかったわね、ルーカス」
 柚子が言った。
 そのあと、京一とルーカスは立ち上がって、カートからおり、席を交換した。今度はルーカスの望みどおり、ルーカスは運転席側に、京一は助手席に座っている。
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