ルーカスと呪われた遊園地(中)

大森かおり

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1 絶対絶命ゴーカート

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 ルーカスは軽快に言ったが、京一はまだ、心配しているような顔をしていた。
「柚子、一人になったからって、あまり落ち込まないで、元気出しなさいよ」
 柚子の肩に片手を置きながら、乙葉が励ました。
「私って、どうしていつもこうなのかしら」
 悲観するように、うつむきながら、柚子が言った。
「本当、いやになっちゃう」
 そんな悲しみに浸っている柚子をなぐさめながらも、五人はそれぞれ、カートの前に立った。
 さきに乙葉と久遠のペアが、一番前のカートに乗り込んだ。二人の距離は非常に近く、肩と肩が触れ合っていた。
「あれ、久遠くん、どうしたの? 顔が赤いけど、もしかして具合悪い?」
 乙葉が久遠の顔をのぞきこみながら言った。
「い、いやっ、全然大丈夫です!」
 照れているのか、久遠はすばやく顔をそむけた。
「そう? もしまた具合が悪くなったら、遠慮なく言って」
 優しく乙葉が言った。
「はい……」
 話していると、乙葉たちの後ろから、京一とルーカスの声が聞こえてきた。
「ルーカス。俺が運転するから、鍵がどこにあるか、ちゃんと目をこらして探すんだぞ」
 言い聞かすように、京一が言った。
「わかってるよー」
 ルーカスが楽しそうに言った。
「本当か? 不安だな」
 京一は疑り深い。
 乙葉は二人の話し声を聞いて、口元を手で覆いながら、クスクスと笑った。
 しかし、一人でいる柚子の声は、当然ながらなにも聞こえてこない。気になって柚子のいる方を見ると、すさんだ顔でうらやましそうに、乙葉と久遠、京一とルーカスのペアを見ていることがわかった。
 そんな柚子を見て、乙葉は思わず苦笑した。
「じゃあ、僕が運転しますね。なので乙葉さん、鍵探しをよろしくお願いします」
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