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1 絶対絶命ゴーカート
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「あんまり柚子がいうから、いい加減、もう眠気も覚めちゃったわよ」
「よかったー。ありがとう、お姉ちゃん! やっぱり、持つべきものは姉よね」
柚子は、自分に都合がいいように言っている。家でも、こういうことはよくあった。だけど、ただでさえ不便が多いこの遊園地に、これから、柚子のわがままが加わると思うと、乙葉は、先行きに不安を感じた。
「はあ、今日はなにがなんでも、鍵を見つけてやるわ」
乙葉は柚子に聞こえないように、独り言をつぶやいた。
そのあと、二人は寝巻きのまま、歯ブラシを持って、小屋から出た。そして、歩いて五分もたたないほどの距離にある、園内のトイレに向かった。
話していると、あっという間に目的地に到着し、乙葉と柚子は、すぐに中に入った。
このトイレの見た目は、街中にある公衆トイレと、なんら変わりない。けれど、朝でもすこし恐怖を感じるほど、どこか不気味な雰囲気があった。それに、中はじめじめと湿気が多く、電気が壊れているのか、ついたり消えたりしていて、暗かった。おまけにすべての個室は、洋式ではなく、古い和式のトイレになっていて、ところどころ、壁のコンクリートが欠けていた。
この状態では、もはや柚子がこわがるのも無理はない。でも、ここでお化けや妖怪などを見たことは、これまで一度だってない。だからということもないけれど、乙葉は、妹の柚子よりかは、まだ平気でいられた。
「お姉ちゃんがついてきてくれて、助かったわよ。おかげでいまは全然、こわくないもの」
乙葉と一緒にいることで、すっかり安心しきっている様子の柚子が、そう言った。
「私、もう一緒にいかないからね? 次からは、一人でいきなさいよ」
乙葉が言った。
しかし、柚子は乙葉のいうことを聞いていない様子で、すでに歯磨きをはじめていた。
その様子の柚子を見て、呆れた乙葉は、柚子に続いて仕方なく、自分も歯磨きをはじめた。
「ねえ、ここでは、いつもお風呂とか、どうしているの?」
ふいに、柚子が歯磨きをしながら言った。
「いつもは、噴水の水で洗ってるわ」
おなじく歯磨きをしながら、モゴモゴと乙葉が言った。
「よかったー。ありがとう、お姉ちゃん! やっぱり、持つべきものは姉よね」
柚子は、自分に都合がいいように言っている。家でも、こういうことはよくあった。だけど、ただでさえ不便が多いこの遊園地に、これから、柚子のわがままが加わると思うと、乙葉は、先行きに不安を感じた。
「はあ、今日はなにがなんでも、鍵を見つけてやるわ」
乙葉は柚子に聞こえないように、独り言をつぶやいた。
そのあと、二人は寝巻きのまま、歯ブラシを持って、小屋から出た。そして、歩いて五分もたたないほどの距離にある、園内のトイレに向かった。
話していると、あっという間に目的地に到着し、乙葉と柚子は、すぐに中に入った。
このトイレの見た目は、街中にある公衆トイレと、なんら変わりない。けれど、朝でもすこし恐怖を感じるほど、どこか不気味な雰囲気があった。それに、中はじめじめと湿気が多く、電気が壊れているのか、ついたり消えたりしていて、暗かった。おまけにすべての個室は、洋式ではなく、古い和式のトイレになっていて、ところどころ、壁のコンクリートが欠けていた。
この状態では、もはや柚子がこわがるのも無理はない。でも、ここでお化けや妖怪などを見たことは、これまで一度だってない。だからということもないけれど、乙葉は、妹の柚子よりかは、まだ平気でいられた。
「お姉ちゃんがついてきてくれて、助かったわよ。おかげでいまは全然、こわくないもの」
乙葉と一緒にいることで、すっかり安心しきっている様子の柚子が、そう言った。
「私、もう一緒にいかないからね? 次からは、一人でいきなさいよ」
乙葉が言った。
しかし、柚子は乙葉のいうことを聞いていない様子で、すでに歯磨きをはじめていた。
その様子の柚子を見て、呆れた乙葉は、柚子に続いて仕方なく、自分も歯磨きをはじめた。
「ねえ、ここでは、いつもお風呂とか、どうしているの?」
ふいに、柚子が歯磨きをしながら言った。
「いつもは、噴水の水で洗ってるわ」
おなじく歯磨きをしながら、モゴモゴと乙葉が言った。
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