ルーカスと呪われた遊園地（中）

１ 絶対絶命ゴーカート

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　早朝、五人は、それぞれの寝床で、ぐっすりと眠りについていた。そこで、ガタリ、という大きな物音がして、久遠は目を覚ました。目を覚ましてからも、物音は途切れながら、小さく聞こえていた。
（なんの音だ……？）
　寝ぼけながらも、久遠は耳を澄ませ、あたりを見まわした。
　すると、となりで寝ていたはずの、京一の姿がなかった。となると、さきほどの物音の正体は、京一でまちがいないだろう。
　ここにきてから毎朝、剣道の練習をしていると、昨日の夜、京一から話を聞いてはいたが、まさか、まだ日が昇りはじめたばかりの明け方、こんなに朝はやくからはじめているとは、思いもしなかった。
　久遠はそれで、とてつもない焦燥感しょうそうかんにかられ、急いで自分の寝袋から起き上がると、もたもたしながら、服を着替えて、京一のあとを追うことにした。
　ぼんやりなんてしていられない。京一がこのままどんどん強くなって、これ以上自分との差を開かせないように、京一のように、トレーニングをしなければならないと、久遠は小屋から出て歩きながら、そう考えていた。
（それにしても、京一くんは一体、どこにいってしまったんだろう）
　一旦、ミラーハウスの前で立ち止まると、キョロキョロと目を動かし、京一の姿を探した。しかし、いっこうに見当たらない。
　久遠もトレーニングをしなければならなかったが、京一がどのように練習をしているのか、一度見て参考にしたいと思っていた。だから、そのためにも、京一をさがす必要がある。
　ふたたび、久遠は歩き出し、京一が練習をしそうな場所に向かって、歩くことにした。
　しばらく歩いて探していると、園内の端の近くで、人の姿が見えた。
「京一くんだ！　やっと見つけた」
　久遠は声を張り上げて言った。
　京一は、久遠が昨日貸した、上下黒の、トレーニング用の服を着ながら、軽快に走っていた。そしてどうやら、京一の動きをよく見ると、まるで園内を、学校の校庭のようにしながら、端に沿って、ぐるぐるとまわって走っている、ということがわかった。この遊園地がどのくらいの大きさなのか、久遠には正確なことはわからなかったが、一周したら、自分の家から、二駅くらいの距離はありそうだと、予想した。