【完結】野良猫無双〜異世界転移したチートスキル所持のクセ強の野良猫✕職人タッグの開拓ライフで猫が一国の王となる〜

終話 新たなる種族

　こうして日本からの4匹の野良猫による開拓は、異世界ヴァシアスの歴史を大きく塗り替えた。

　南洋の小さな島パラディース島を中心に次々に猫の血が混じった種族が誕生し、パラディース島に元から存在した8つの種族とは明らかに違う種族が誕生した。

　彼らは子孫を残すにつれてその形態を確立していき、普段は他の種族と変わらない外見なのに、自身の獣や竜としての力を込めた獣石じゅうせきや竜石りゅうせきを使うことにより獣の耳に変化したり、翼が生えたりと姿を変える。

　人々は少しずつ彼らのその存在に気付き始め、現在彼らは『ヴァーデルン族』と呼ばれている。

　しかし、彼らも存在を隠すのが上手いため、実際に彼らが変化しているところを見た者はほとんどいない。

　希少種族として、ヴァーデルン族はひっそりと、しかし伸びやかに暮らしている。


　また、ルナの開拓したアメノカク諸島では独自の文化や食材が普及し、大豆を使った味噌や醤油、豆腐と言った日本の和の食材が当たり前のように食卓へとならんだ。

　武器も独特の文化を極め、“刀”や“薙刀なぎなた”と言った日本古来の武器が普及した。
　中でも長い歴史の中でルナとアビスの血を両方受け継いだ一族は、その刀へ不思議な力を注ぎ込み、特別な力を持った刀を誕生させることに成功する。

　それは後に“妖刀ようとう”と呼ばれ、そこに込められた力を“妖力ようりょく”と呼んだ。


　その妖刀は扱いが難しいためにあまり世に普及はしなかったが、和の食材や刀等は主にエーベル商会によって各地に広まり、現在では“アメノカク産”と呼ばれるそれらは普通に店に並んでいる。


　この現在では当たり前のように歴史の一部となっているこの文化が、異世界の野良猫4匹から始まったなど、今では知るものは誰もいない。

　4匹の猫王たちをのぞいて。


⸺⸺おしまい⸺⸺