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32話 竜王の野望

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⸺⸺パラディリア城、バルコニー⸺⸺

 猫王たちがこの城を出ていってから今日で3か月だ。

 みんな元気でやっているだろうか。ボクは、そんなことを考えながら猫の姿でウォルトと外を眺めている。

 ボクの方はと言うと、アンナとシャンディの2人の王妃を迎えてから2か月が経つけど、そこそこ上手くやれていると思う。

 2人とも最初はあんなにいがみ合っていたのに、今では大親友のように仲が良く、毎日楽しそうでなによりだ。

 
 国も大きなアクシデントがある訳でもなく、ひたすらに平和なときが流れていた。

「お、みんなそろって来たぜ」

 ウォルトがそう言ったので、ボクはワクワクしながら待っていると、数分後にアビス、ナーガ、ルナ、フェリクスが空を飛んでやってきた。
 フェリクス以外はみんな猫の姿だ。

「みんな、久しぶり! 元気だった?」

「久しいな“竹猫たけねこの友よ! 俺様は面白い話を持ってきてやったぞ!」
 と、アビス。何だろう。カオスキングダムで何かあったのかな?
「わぁ、早く聞きたいな」


「どうじゃレクスよ。順調に2人のおなごの尻に敷かれておるのか?」
 と、ルナ。順調にって何? まぁ、敷かれてますけども。
「まぁ、ね……」


「やぁ、そう言えば結婚式依頼か。シャンディちゃんとやれてるかな……」
 と、フェリクス。そりゃもう、いい感じに積極的で……。
「うん、猫吸いのメンバーとも上手くやってくれてるし、すごく助かってるよ」


「ワシ、ちゃんと宿題、考えてきた……」
 と、ナーガ。
「良かった! 君がそれ考えてこなかったら今日ただの同窓会になるところだったから」

 そう、今日みんなに集まってもらったのは、ナーガが何をしたいかを考える宿題の期限の日だったからだ。
 今日までにナーガに予定を考えてもらって、今日みんなで集まろうねって、そういう約束をしていた。

 みんな当たり前のように忘れずに来てくれて、ボクは嬉しいよ。


⸺⸺

 応接間にみんな揃うと、早速ナーガの話を聞くこととなった。

「ナーガ、空で何をしたいか、決まった?」

 ボクがそう尋ねると、ナーガは大きくうなずき口を開いた。

「ワシ、パラディース島の空に王国創りたい……」

「おぉ! 空の王国!? カッコイイね!」
 ボクはワクワクしてときめいた。
 そうだよ、こういうのを待ってたんだ。

 みんなもいいねいいね、と口々に言葉を発していた。

「でも、ドワーフの技術を集結しても、空に地面を作る方法が、ない……。今はその方法を模索してるとこ……」
 ナーガは少し残念そうに言った。

「そっかぁ。やろうとしてることが大変なことだからね。でも、諦めずに考えたらきっと……」

 ボクがそう言いかけると、アビスが口を挟んだ。

「どこか無人島を探してきて浮かせればいいではないか」
 アビスはそう言ってフレーメンの口になった。

「島を浮かせる……? 空に地面を作るのと同じくらい難しそうだけど……」
 ボクが苦い顔をすると、アビスは更に口を開けてドヤ顔をした。

「俺様は魔界に行って、何でも浮かせられる“浮遊石”を手に入れた。これを使って島を浮かせよう」

「何それ!?」
 みんな声を揃えてそう叫んだ。

⸺⸺

 ここで、アビスがこの2か月で驚くべき体験をしていたことを聞き、みんなのテンションは上がりまくっていた。

「魔界! そんな空間がこの世界の裏に!?」

「そう言えばお主の魔力も見違えるほど膨れ上がっておる気がするな……」

「大魔王と友達になるとかやるなぁ」

「なーっはっはっは! やはり浮遊石を持ってきた俺様のかんに狂いはなかった!」
 アビスは有頂天うちょうてんだ。

「それに、その転送装置っていうのがあれば、ルナの望みも叶えられるね!」
 と、ボク。

「そうであろう。そのために手に入れて来たのだからな! なーっはっはっは!」

「あぁ、アビスよ……感謝するぞ!」
 ルナも嬉しそうにしていた。


 ここでボクが話をまとめる。
「じゃぁ、これからすることは、ナーガの空に浮かべる島を探しに行くこと。それと、ルナの神社のような景観の島を開拓すること、だね。つまり……」

 ボクはふぅっと一息ついて、再び口を開いた。

「海外進出だー!」


「おぉぉぉ!」

 みんなでわーっと盛り上がると、再び猫王4匹でタッグを組んで、みんなで海へ航海に出る準備を進めることとなった。

 しばらく会えなかったけど、これでまたみんな一緒に過ごせるね!
 しかも次は冒険だ!

 この日ボクはワクワクし過ぎてなかなか眠れなかった。





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